子連れ居酒屋について改めて議論が交わされるべき時期?
子連れで居酒屋に行くことに対して、いろいろな意見があるが、グルメジャーナリストの東龍さんはこう話す。
「居酒屋は居“酒”屋であるだけに、お酒を飲める年齢以上、さらにいえば、お酒を飲む方の利用が前提となっている業態です。したがって、お子様連れの客層は、店の造りや経営的にも、メニューの構成やサービス的にも、本来であれば想定されていません。
ただ、2024年における飲食店の倒産は全国で894件となり、これまで最多であった2020年の780件を上回り、過去最多を更新しました。(※帝国データバンクより引用)
総務省の日本標準産業分類で倒産件数を区分けすると、居酒屋が含まれる「酒場、ビヤホール」は212件で最も多く、お酒を主力とする業態は厳しい状況に直面しています。
お酒をメインとする飲食店が不況に陥っていたり、“女性の社会進出”が背景にあるなか、母親が子どもを連れて、使い勝手のいい居酒屋に訪れるケースは増えているようです。
居酒屋のほうも昔よりもお子様連れに対して寛容的になっており、周囲からも子連れ客はより理解されています。
働きながら子どもを育てる女性が多くのストレスを抱えていることは確かなこと。私もお酒が大好きなので、お酒を飲む母親がたまには居酒屋に訪れたい気持ちは十分に理解できます。
現代の日本では、海外への輸出が伸びているお酒、少子化における子ども、GDP向上に寄与する女性の活躍が、極めて重要。居酒屋の子連れ利用について、改めて議論が交わされるべき時期が訪れているのかもしれません」
時代の背景とともに変わりゆくのは居酒屋だけではない。親たちの価値観もともに変わっていく。“子連れ居酒屋アリ・ナシ“論争はまだまだ終わりそうにない。
取材・文/吉沢さりぃ