ビジネスパーソンは“敬語の未来”をどう考える?
我が国の社会においては、親しい間柄以外、 大人同士の会話は敬語でやりとりされることがほとんどだ。特にビジネスシーンでは、それが当たり前の光景となっている。
では、実際にビジネスパーソンたちは、“敬語”についてどのように感じているのだろうか? 東京・新橋と有楽町で彼らの声を聞いてみることにした。
「敬語はなくならないと思いますね。この国って、上の世代は頭の固い人ばっかりじゃないですか? 無条件に“これまでの習慣”を正しいと思い込んでいる人だらけだから、この層が消えない限り、敬語も消えないと思います」(20代男性)
「今はフレックスやリモートワークが普及し、私服勤務や髪色・髪型の自由も広がっていますよね。ちょっと前までは考えられなかったことが当たり前になっている。そう考えると、マツコさんの言うとおり、いつか敬語もなくなるのかもしれませんね」(50代男性)
「たしかに、敬語は消えていくのかも。昔は長時間働けない社員は淘汰されていたけど、今は長時間働かせるほうが不適切ですよね。働き方が変わるように、昔の慣習に囚われるほうがおかしい時代なのかもしれません」(30代女性)
「効率化の観点から言えば、過剰な敬語は今後消えると思います。時候の挨拶なんて正直無駄なだけで、さっさと本題に入ったほうが業務はスムーズに進む。ルールって、本来はよりよい仕事をするためにあるものだから、今後は要件だけをシンプルに伝える方向になっていくのかなと」(30代男性)
敬語のあり方についてさまざまな意見がある一方で、社内で敬語の使用をルールとして義務化している企業も存在する。
そのひとつが、システム開発やマーケティング、ヘアサロン運営など幅広い事業を展開するLaboratous株式会社だ。
2021年に代表の北原孝彦氏が前身となる会社を設立し、昨年Laboratous株式会社へ社名変更した同社。敬語を義務づけたことが、事業の成長に大きな影響を与えたという。
「私はもともと美容師だったのですが、この業界は離職率が非常に高いんです。以前勤めていた職場でも、8割のスタッフが辞めていってしまい……。しかし、2015年5月に自分の美容室を立ち上げた際、上司・部下関係なく“全員敬語”をルール化したところ、離職率が3%まで下がったんです」(北原代表、以下同)