企業の忖度文化に変革を

昨年12月下旬。街がクリスマスムード一色に染まる中、横浜市役所の1階会議室には市職員18名と派手なファッションに身を包んだギャル6名がテーブルを囲んでいた。

行われていたのは、市の職員研修。この日は朝から「未来のワクワクする横浜」をテーマに議論が交わされることとなった。

20代の若手職員から50代の管理職までが入り混じる空間…。最初こそ緊張した面持ちの職員たちだったが、意見を出すと、ギャルから「超いいじゃん!」「ウケる!まじアゲ⤴」などのリアクションが飛び、次第に職員もノリノリに。会議室は活気に満ち溢れていた。

「『ギャル式ブレスト®』は、ギャルを交え、直感で忖度のないコミュニケーションを軸に、フラットに意見を出し合う環境を作り出すプログラムです」

そう語るのは実際に事業を展開する合同会社CGOドットコム総長のバブリー(竹野理香子)さんだ。

山梨県の公務員一家に生まれ育ち、高校まで「優等生」として生きてきたバブリーさんだが、高校入学初日に担任の先生から「東大に行きなさい」と言われたことがきっかけで、自分の人生が他人に決められているような息苦しさを覚え、16歳の時に不登校になり、家を出た。

そんな悩めるバブリーさんを救ってくれたのが、大阪で出会ったギャル仲間だった。

「他人ウケより自分ウケ! で直感で力強く生きる彼女たちの姿を見て、とても勇気づけられました。その後、私は高校をやめ、ギャルになり、ようやく自分自身を好きになることができました。

家出したときに出会ったギャルの生き様や、自分自身がギャルとして生きた経験から、『ギャルが持っている“ギャルマインド”の可能性をもっと広めて、企業の忖度文化に変革を起こしたい』との思いから、ギャル式ブレスト®の構想を思いつきました」(バブリーさん、以下同)

2022年に会社を立ち上げてから、これまで東急建設や日産自動車など80社以上から依頼を受けているという。

市役所は札幌市に続き、2件目だという横浜市。今回送り出されたギャルは、バブリーさんが渋谷ハチ公前やギャルカフェなどに通い詰めて草の根的に探し、CGOドットコムの事業やミッションに共感してもらったメンバーだという。

ギャルと意見を交わす横浜市職員
ギャルと意見を交わす横浜市職員