5歳児健診は必要な制度なのか

こども家庭庁は「安心の就学へ『5歳児健診』」とうたい、24年12月より5歳児健診の義務化を発表した。しかし、現況の日本で5歳児健診を決行することは、保護者や子どもたちに不安を植え付ける行為なのかもしれない。

発達障がいに詳しい、お茶の水女子大学名誉教授の榊原洋一氏はこう警鐘を鳴らす。

「5歳児健診では発達障がいなどが疑われた場合、児童精神科などの診断のできる専門家の二次健診を受けるとうたわれています。しかし、専門家は足りておらず、初診までの待機時間が8ヶ月もかかるところがあります。この極端なリソース不足をどのように乗り越えるのか。

たとえ理念(早期発見)がよくても、それを実施する体制が整っていないところで制度化すると、混乱が起こるだけではないでしょうか。

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例えば『発達障がいなどの可能性がある』と判定された子どもの親の多くが、専門家の診察を受けられずに不安の中で過ごさなければならない状況が生じることは明白です」

国が促す5歳児健診。そして、限られた児童精神科の診察を待つまでの間に受け皿になりうるのが療育施設なのだ。

このまま助成金、補助金0で本当に良いのか。環境を整えるための支援制度が検討されることを切に願う。

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取材・文/ 山田千穂 集英社オンライン編集部ニュース班