値上げするも原価率は2.2ポイント上昇
足元の業績は回復しつつあるものの、懸念材料もある。
2025年6月期第1四半期の売上高は前年同期間比7.9%増の87億8500万円、2億5200万円の営業損失(前年同期間は3億8800万円の営業損失)だった。
主力の文具事務用品事業の売上高は同3.4%増の51億8300万円、2億9700万円の営業損失(前年同期間は4億7900万円の営業損失)。
テプラの需要が回復、防災グッズの販売強化も図って増収となった。
しかし、原価率は上がっている。
今期第1四半期の原価率は63.0%、前期は60.8%だった。
一方、販管費率は今期が39.8%で前期が43.9%。キングジムは原価率が高い商品を販売しており、今期の赤字幅の縮小は販管費率を削減したことによるものだ。
キングジムは2021年から度重なる価格改定を繰り返しているが、原価率が改善される様子がなく、むしろ上がっている。
今期は通期で3.7%の増収、5億3000万円の営業利益を計画しているが、既存事業による既定路線で決めた印象が強い内容だ。
前期に買収で生じたのれんの減損損失を計上するなど、利益を出しやすい体制も整えていたのだが、新体制後の第1四半期の決算発表においても、今期の増収に向けた具体的なプランは見えてこなかった。
経済活動が戻った今こそ、具体的な今期や中期経営計画達成の道筋を指し示すタイミングであるように思える。
取材・文/不破聡