画面が映って1秒「ここはエクアドル」

RTAとは、スタートからクリアまでの実時間を計測する遊び方だ。やり直ししたり、一時停止したりしてもタイムは進んでいくため、RTAは常にぶっつけ本番一発勝負である。

例えばアクションゲームならば、操作精度がタイムを大きく左右する。これがクイズゲームなら、カギを握るのはプレイヤーの知識量となる。

Daig_Oさんがプレイするゲーム「GeoGuessr」は、Googleストリートビューの画像からその場所を当てるクイズゲームだ。

――具体的にはどんなゲームなのでしょうか?

Daig_Oさん(以下、同)
画面を見てもらったら早いと思うんですけど、プレイヤーはゲームスタートとともにポンッ、と世界に投げ出されます。そして、限られた情報から現在地を推測するわけです。

Daig_Oさんが投影してくれたゲーム画面。それは、画面が映ってわずか1秒後の出来事だった。
Daig_Oさんが投影してくれたゲーム画面。それは、画面が映ってわずか1秒後の出来事だった。
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これはエクアドルなんですけど。

――「これはエクアドルなんですけど」⁉

はい。まずは道路のセンターラインが黄色。これはアメリカ大陸に多い特徴なんですね。次に、なんとなくジメジメしてそうな気候なので、南米に絞れます。そして決め手がこの部分です。

画面隅に、にょきっと生えている棒。これがこの問題の決め手となった「ボラード」だ。
 
画面隅に、にょきっと生えている棒。これがこの問題の決め手となった「ボラード」だ。
 

この右下にある棒は「ボラード」といいます。道路の端に立っている、反射板が着いた柱みたいなものです。で、このボラードのデザインが国によって違いまして、エクアドルは写真のように反射板が2つついています。

こんな感じで、画像からその場所を特定していきます。僕は国当てを中心に遊んでいますが、ピンポイントで今いる地点を特定して、その精度を競うモードもあります。

今ご紹介したほかにも、地形や植生、電柱の形状、道路標識なども手がかりになります。あとは、若干テクニカルにはなりますが、ストリートビューを撮影しているGoogleカーの車種なんかも重要な手がかりです。

例えば、ルーマニアは撮影に馬車が使われていることもあります。カメラの汚れや画像にうっすら入っているコピーライトもヒントになりますね。ストリートビューで空を見上げると「2019  Google」って薄くコピーライトが入っているんですけど、その撮影時期から国を割り出すこともあります。

ルーマニアのGoogleカー(馬車)
ルーマニアのGoogleカー(馬車)
画像は筆者が近所のGoogleストリートビューで空を見上げたもの。確かにうっすら「2022 Google」の文字が見えている
画像は筆者が近所のGoogleストリートビューで空を見上げたもの。確かにうっすら「2022 Google」の文字が見えている

――国旗を探すとか、そういうゲームではないんですね

Googleストリートビューなので、最初の地点から移動して、それこそ国旗のようにわかりやすい手がかりを探しに行くこともできます。ですが、これはRTAですから、なるべく早くその国を特定することが大切。そのためにもさまざまな手がかりを活用します。

第2問。のどかな昼間の風景を切り取った一枚。近所で見たことある気さえする素朴な光景だ。
第2問。のどかな昼間の風景を切り取った一枚。近所で見たことある気さえする素朴な光景だ。

――これはどこですか?

リトアニアです(即答)。まず目を引くのは看板ですね。

横断歩道の側にあった青い道路標識。一見すると何の変哲もないデザインだが、GeoGuessrプレイヤーにとっては情報の宝庫である。
横断歩道の側にあった青い道路標識。一見すると何の変哲もないデザインだが、GeoGuessrプレイヤーにとっては情報の宝庫である。

 横断歩道の標識にデザインされている人の頭がポイントで、少し楕円形になっているのはロシアとウクライナ、リトアニアなんです。また、近くに店名が書かれていた看板があったと思うのですが、あれはラテン語で書かれていました。

ラテン文字。
ラテン文字。

さっきの3カ国のうち、ロシアとウクライナはキリル文字を使っています。ラテン文字はリトアニアだけなので、リトアニアで確定です。

――言語まで覚えているんですね。すごすぎる…….。

世界大会レベルになると、アメリカのどの州がどの市外局番を使っているかまで覚えているプレイヤーもいますよ。看板に電話番号が書かれていることもあるので、さきほどのピンポイントで地点を特定するモードで使うんです。