「理屈上はできるんで、できるんです」

RTA(リアル・タイム・アタック)という遊び方がある。やり直しや一時停止も含めて、スタートからクリアまでの実時間を計測する…。ただそれだけなのだが、8時間ぶっ通しでのプレイをしたり、なぜかゲーム機のほうを数百台集めたりと、作品やプレイヤーによって目指す高みと登り方が異なるのがRTAの魅力の1ついえる。

美少女(ペンネーム)さんのRTAは、まさに研究だった。

――美少女さんの行っているRTAについて教えてください。

美少女さん(以下、同) 「3つのボタンだけでカービィボウルRTA」といいます。その名の通り、カービィボウルを3つのボタンしか使わないでなるべく早くクリアするカテゴリーです。

――ボタンが3つしか使えないと、どうなるんですか?

打つときは、カービィをひたすらまっすぐに飛ばすか、打ち上げるか、それしかできません。方向を自由に決められないので、2打目以降にカービィが向く方向まで計算して、ショットしなくてはなりません。

打ち出したあとは「がんばれボタン」と「コピー能力」が使えるので、それらと壁、敵キャラ、回る床などのステージギミック、あらゆる要素を使い倒してカップインを目指します。

ファミコンのコントローラー。このうち、3つのボタンでカービィボウルRTAで使えるのはAボタン(赤)、Bボタン(黄)、十字キーの上ボタンのみ。押すボタンが少ないので初心者にも易しい(?)
ファミコンのコントローラー。このうち、3つのボタンでカービィボウルRTAで使えるのはAボタン(赤)、Bボタン(黄)、十字キーの上ボタンのみ。押すボタンが少ないので初心者にも易しい(?)
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カービィボウルは、1994年に任天堂から発売されたスーパーファミコン用ソフト。その名前からピンボールを連想しがちだが、どちらかというとゴルフやビリヤードに性格が近い。カービィ(中央の丸いピンクのキャラクター)を敵にぶつけて倒していくと、最後の一体がゴールカップになり、カップインするとステージクリアとなる。当然、通常プレイではたくさんのボタンが使える。©1994 HAL Laboratory, Inc. / Nintendo
カービィボウルは、1994年に任天堂から発売されたスーパーファミコン用ソフト。その名前からピンボールを連想しがちだが、どちらかというとゴルフやビリヤードに性格が近い。カービィ(中央の丸いピンクのキャラクター)を敵にぶつけて倒していくと、最後の一体がゴールカップになり、カップインするとステージクリアとなる。当然、通常プレイではたくさんのボタンが使える。©1994 HAL Laboratory, Inc. / Nintendo

――どうしてそんなことを?

もともと、3つのボタンしか使わない遊び方はTAS(ツール・アシステッド・スーパープレイ※)でプレイしている先駆者様がいまして、これはRTAとしてもやれそうだなと。

――あれ? TASってざっくりいうと、コンピューターを使って人間じゃ実現がほぼ不可能なスーパープレイをする、あれですよね。

そうです。でも理屈上は人力でも再現できるので、できちゃったんです。練習すれば、誰でもできるようになると思います。

(※)ツール・アシステッド・スピードランとも