〈三宅香帆〉PodcastにVoicy…不特定多数への音声発信を成功させるためのたったひとつのポイント
近年、Podcastが何度目かのブームを迎えている。中でも、自身が好きな「推し」について語る番組は、一大ジャンルにまで発展している。では、人を惹きつける音声発信にはどのような技術が必要なのか。
書評家の三宅香帆氏が、自分だけの言葉で感想を伝える技術を伝授した『「好き」を言語化する技術』より一部抜粋、再編集してお届けする。
「好き」を言語化する技術 #3
「どこへ連れて行きたいか」をわかっておく
私はプレゼンや講演といった、不特定多数の人に向けてしゃべるときがたまにあります。
そこであれこれ失敗したうえでわかったのが……、一番よくないのは「聴衆をどこへ連れて行きたいかがわかっていないとき」なんだ、ということでした。
「どこへ連れて行きたいか」とは、単純に「この結論をわかってもらおう」「ここを覚えてもらおう」といった、しゃべりの終着点のことです。さらには「今笑って聴いていてほしい」「ここは『なるほどね』と納得してほしい」といった、反応を予測する力のことでもあります。
感情であれ情報であれ、「聴いている人がどうなってほしいのか」を、語り手が把握できていることが重要なんです。
じゃないと、ひとりでしゃべっている側が照れてしまうんですよ! 不特定多数の人に向けてしゃべることって、ただでさえ恥ずかしい。「あれ? 今、自分はなにをしているんだ?」と我に返ったら、もう終わり。なにを伝えたいのか、よくわからなくなってくる。
だからこそ、ちゃんと照れないように、聴き手の気持ちを引きつけることができるように、自分が聞き手をどこへ連れて行きたいのかをわかっておきましょう。
ちなみに、長い文章を書くときも同じです。読み手を最終的にどこへ連れて行きたいのか、文章を読み終わったあとにどうなってもらいたいのか、把握しておくことが大切です。
すべての画像を見る
なんだかんだ、結局は「慣れ」が肝心
もうひとつ、私が音声発信するうえで重要だと感じるのは、「慣れ」が一番効くんだ! ということです。
最初からうまくしゃべれる人なんてじつはいなくて、経験を積むうちにどんどん洗練されていくんだな……とさまざまな人のしゃべりを聞いていて感じます。
人によって発信を楽しく感じるかどうか、その差異はもちろんありますが、それでもまずは「慣れ」が一番重要なコツ。
SNSも同様ですよね。最初は虚空に向かって自分の思ったことをつぶやいたり、アップロードしたりするなんて、どうしていいのかよくわからなかった。
けれども、見よう見まねで、ほかの人と同じように使っているうちに、生活の一部になっていく。慣れるうちに、自分なりの使い方がわかってくる。それと同じで、試行錯誤を繰り返すうちに、しゃべることも慣れてくるはずです。
なかなか言葉がでてこなかったり、なにを話したらいいのかわからなかったり、最初は慣れないことも多いでしょう。でも、発信していくうちに、ちょっとずつ慣れて、楽しくなるはずです!
文/三宅香帆 写真/Shutterstock.
「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
三宅 香帆
2024/7/31
1,320円(税込)
256ページ
ISBN: 978-4799330838
好きな本・映画・舞台・ドラマ・アイドルを語りたい人の必読書
16万部突破『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』でバズり中の著者が教える文章術!
あなたの「推し」はなんですか?
お気に入りのアニメ、本、漫画、映画。
応援しているアイドル、声優、バンド、YouTuber。
大好きな舞台、コンサート、ライブ。あるいは、スポーツや釣りなどの趣味も、推しに入るかもしれません。
本書は、アイドルと宝塚をこよなく愛する著者が、書評家として長年培ってきた文章技術を「推し語り」に役立つようにまとめた1冊です。
SNS発信・ブログ・ファンレター・友人とのおしゃべり・音声配信などの発信方法ごとに、自分だけの言葉で感想を伝える技術を教えます。
推し語りには、語彙力や文章力が必要だと思われがちですが、それは間違いです。
必要なのは、自分の感想を言葉にする「ちょっとしたコツ」だけ。
そのコツさえ知れば、あなただけの言葉で好きな作品の素晴らしさを語れるようになります。
ここでは特別に、少しだけそのコツをお教えします!
コツ① 自分の感情を一番大切にする
コツ② 妄想をこねくり回して、感想を生みだす
コツ③ よかったところを細分化するだけで、あなただけの言葉になる
これって一体、どういうことなんでしょう…?
本書を読めば、特別な才能や技術がなくても、あなたの感動を自分の言葉で語れるようになります。
≪こんな方におすすめ≫
・映画を観たあと、他人の感想をSNSでリサーチしまくってしまうが、本当は自分の言葉で感想を発信したい
・好きな作品について、うまいこと言いたい
・好きな作品や推しについて語ろうとすると「おもしろかった」「すごい」「やばい」「よかった」という凡庸な表現しかでてこない
・ファンレターやブログを書きたいけど、ネタが思いつかない
・なぜ、その作品や人に魅かれるのか言語化したい
◆購入者限定ダウンロード特典付き!
「推しの素晴らしさを語る」発信方法ごとのまとめ
※本書は、2023年に弊社より刊行された『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』の携書版です。判型以外のコンテンツは同じですので、あらかじめご了承ください。