「どこへ連れて行きたいか」をわかっておく

私はプレゼンや講演といった、不特定多数の人に向けてしゃべるときがたまにあります。

そこであれこれ失敗したうえでわかったのが……、一番よくないのは「聴衆をどこへ連れて行きたいかがわかっていないとき」なんだ、ということでした。

「どこへ連れて行きたいか」とは、単純に「この結論をわかってもらおう」「ここを覚えてもらおう」といった、しゃべりの終着点のことです。さらには「今笑って聴いていてほしい」「ここは『なるほどね』と納得してほしい」といった、反応を予測する力のことでもあります。

感情であれ情報であれ、「聴いている人がどうなってほしいのか」を、語り手が把握できていることが重要なんです。

じゃないと、ひとりでしゃべっている側が照れてしまうんですよ! 不特定多数の人に向けてしゃべることって、ただでさえ恥ずかしい。「あれ? 今、自分はなにをしているんだ?」と我に返ったら、もう終わり。なにを伝えたいのか、よくわからなくなってくる。

だからこそ、ちゃんと照れないように、聴き手の気持ちを引きつけることができるように、自分が聞き手をどこへ連れて行きたいのかをわかっておきましょう。

ちなみに、長い文章を書くときも同じです。読み手を最終的にどこへ連れて行きたいのか、文章を読み終わったあとにどうなってもらいたいのか、把握しておくことが大切です。

配信で推しを語るイメージ
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なんだかんだ、結局は「慣れ」が肝心

もうひとつ、私が音声発信するうえで重要だと感じるのは、「慣れ」が一番効くんだ! ということです。

最初からうまくしゃべれる人なんてじつはいなくて、経験を積むうちにどんどん洗練されていくんだな……とさまざまな人のしゃべりを聞いていて感じます。

人によって発信を楽しく感じるかどうか、その差異はもちろんありますが、それでもまずは「慣れ」が一番重要なコツ。

SNSも同様ですよね。最初は虚空に向かって自分の思ったことをつぶやいたり、アップロードしたりするなんて、どうしていいのかよくわからなかった。

けれども、見よう見まねで、ほかの人と同じように使っているうちに、生活の一部になっていく。慣れるうちに、自分なりの使い方がわかってくる。それと同じで、試行錯誤を繰り返すうちに、しゃべることも慣れてくるはずです。

なかなか言葉がでてこなかったり、なにを話したらいいのかわからなかったり、最初は慣れないことも多いでしょう。でも、発信していくうちに、ちょっとずつ慣れて、楽しくなるはずです!


文/三宅香帆 写真/Shutterstock.

「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
三宅 香帆
「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
2024/7/31
1,320円(税込)
256ページ
ISBN: 978-4799330838

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