1500人超の斎藤応援オープンチャットの存在
集英社オンラインは斎藤氏の支持者が連絡を取り合った複数のオープンチャット記録を関係者らから入手した。
このうち最大のグループとみられる「チームさいとう」と名付けられたチャットでは、知事選告示2日前の10月29日に「管理者」が、メンバーが1500人を超えたことを報告している。
11月7日には別の人物が「この1週間で、仲間が作った動画が100本以上となりました‼ 現在、デジタルボランティアが391人います。ハッシュタグも忘れずに #さいとう元知事がんばれ」と書き込んでいる。
このハッシュタグは、公職選挙法に違反するSNSを使った有償の選挙公報を行なったとして刑事告発されたPR会社「merchu」の代表取締役・折田楓氏が、「自分が考案し斎藤氏が喜んでいた」と自慢していたものだ。
一方、10月28日にはメンバーの一人が「デジボラさん、斎藤さん応援動画流してくださいねー 再投稿だけでも大丈夫です」と書いた。その直後、この投稿者を名指しし、「誰かに『指示』を出すようなことは控えてください。デジボラはデジボラで責任者がおります。」と諭した人物がいる。
「S」(仮名)と名乗るこの人物は、11月9日に斎藤氏を批判する意見を書いたとみられる参加者Y氏(仮名)に向け「ここは斎藤元彦の応援のオプチャです。さようなら。」と投稿。その直後チャットには「SがYをこのオープンチャットから退会させました。」との表示が出ている。
このためS氏は参加者を強制退会させられるだけの、管理者と同等の権限を持っていたとみられる。
S氏とは何者か。フリーランス記者が話す。
「同一人物かは未確認ですが、演説会場にもよく姿を見せたSを名乗る有名な支持者の男性がいます。陣営に近いようで、投開票日の11月17日には斎藤氏の選挙事務所で10脚程度しか用意されなかった支援者用の席に座っていました。すぐそばには折田楓氏もいました」
斎藤氏の選挙戦は、SNSの4つの公式アカウントを「管理・監修した」と豪語する折田氏や、斎藤氏が中高6年間を過ごした愛媛県にある全寮制の進学校の同窓生グループが手伝っていたことがこれまでわかっていた。(#11)
これに加え、陣営に近いとみられる人物が管理に携わる1500人超のチャットや「責任者」の下で動く400人近いデジタルボランティアの存在が浮かび上がってきた。
選挙で斎藤氏に敗れた前尼崎市長・稲村和美氏の陣営は選挙期間中に2度、後援会のXアカウントが凍結された。稲村陣営は偽計業務妨害容疑で凍結に関与した人物を被疑者不詳のまま後に刑事告訴したが、凍結以前から、SNS空間は斎藤陣営が圧倒的に優位にあったことがうかがえる。