ペナントレースの重みはどこへ
CSといえば、日本でもペナントレースで2位・3位のチームがポストシーズンを勝ち上がって日本一になった例が4回ある。なかでも2010年、西村徳文監督のロッテはパ・リーグ3位からCSのファーストステージで2位・西武に連勝し、ファイナルステージではソフトバンクを1勝3敗から3連勝で逆転してCSを突破。日本シリーズでも中日を4勝2敗1分で破って「史上最大の下剋上」を達成した。
一方のペナントレースでは、史上初の最終戦同率首位対決があった。
1994年10月8日、ナゴヤ球場で行われた中日-巨人の優勝決定戦は、長嶋監督が率いる巨人が3時間14分の激闘の末、6-3で高木守道監督の中日を撃破して「10.8決戦」として球史に残った。このあと長嶋巨人は日本シリーズで森祇晶監督の西武を4勝2敗で破り日本一を飾っている。
以上の試合はどちらも名勝負として野球ファンの記憶に残っているが、私が言いたいのは、どちらの勝利がリーグの代表で日本一にふさわしいのか、ということだ。
ロッテファンは当然「下剋上の大逆転」というだろうが、巨人は1勝の差でリーグ優勝を勝ち取り、日本シリーズに進出した。「1勝は1勝」という言葉があるが、巨人のペナントレース最終戦の1勝には長いシーズンを積み重ねた重みがある。
2024年も、4年ぶりにリーグ優勝した巨人がCSで3位のDeNAに敗れたが、私は日本シリーズの出場権があるのは、ペナントレースを勝ち抜いたチームだと思っている。短期決戦の敗者復活制度の勝者は、リーグ代表とは認めない。
だから勝負の真理を無視したCSはやめるべきだと思っているが、この問題は前述の契約問題とともに、コミッショナーが日本野球の将来のために、オーナー会議を説得して改革に取り組んでもらいたい