22歳で本塁打王獲得のプレッシャーの中で…
2021年の優勝は心からうれしかった。だけど……。チームが強くなるにつれ、自分の出番は減っていく。長年その「轟砲」でチームを鼓舞し、ファンを魅了してきた岡田は、当時の思いをこう述懐する。
「やっぱりね、チームスポーツですけど、個人スポーツでもあるんです、野球は。チームが優勝して、その喜びの中でもユニフォームを脱いでいかないといけない人がいるんで。当時はとにかく自分の成績を上げることしか正直、頭になかったですよね。明日こそ、勝ったときに、そのチームの中心にいたいなって。もう常にその繰り返しでした。明日は、明日こそはって」
岡田といえば「労働基準法違反」と言われるほどの練習の虫。誰よりも早くグラウンドにきて練習している姿はファンにもよく知られていた。彼をそこまで駆り立てていたのはなんだったのか。
「僕、2019年のシーズンが終わってから、プエルトリコのウインタリーグに参加したんです。それまで野球することに対してけっこう苦しかったというか、しんどかったんすよね。それこそ2019年はケガが多くて、試合にもなかなか出られなくて、苦しくて、しんどくてっていうのがあったんです」
2019年の一軍出場は20試合。本塁打はわずか1本に留まった。野球が「つらくしんどかった」岡田は、31歳とベテランながら初めて参加した海外リーグで思わぬ発見をすることになる。
「プエルトリコに行ったら、みんなめちゃくちゃ楽しそうに野球するんですよ。そういう選手たちを見ていたら、こんなに野球って楽しんでいいんやって思えて。もうほんまに初心に帰るというか。すごい感銘を受けました。それからまた野球を楽しめるようになってきて」
そう当時を振り返る岡田は少年のように目を輝かせる。
「なんて言ったらいいかな、もっともっと野球うまくなれるんやって思った。次の日にはもっとこういうことができるようになるんじゃないかって。そういう楽しみを持って野球ができるようになったんですよね。それがでかかったんですよ、僕には」