「遺族の思いをくむ法律であってほしい」
事故で折れた街灯を管理していた商店会の関係者も、こう声を落とした。
「一応、事故の補償関係については加害者の母親の保険の特約で対応していただくことで落ち着きそうです。事故からすぐに、母親から商店会長のところに泣きながら謝罪の電話があったものの、その後は少しすったもんだがあったんです。
というのも、加害者の乗っていたレンタカー会社の保険では、折れた街灯には適用できず、皆で頭を抱えていたんです。でも事故から2週間くらいたって母親の加入する保険会社から連絡があり、街灯を元通り修復するのに約140万円かかると見積もりも出たようです。今はそれをすべて補償で賄うのか、一部にするのか、細かなところを詰めている最中だと思います」
この商店会関係者の知人は、亡くなった男性と親交があったという。
「その知人は被害者の葬儀にも参加していました。そして今でも献花台のほうに手を合わせに来る人も多くいます。被害者にはまだ小さなお子さんもいらっしゃるようだし、一番はご遺族に対する補償を行なってほしいです。
それに危険運転致死罪に関して、法律が間に合っていないんじゃないかという声も多くなっていますよね。あの一方通行道路を100キロ以上のスピードで走ってきて危険運転ではないというのは基準がよくわからないですし、遺族の思いをくむような法律であってほしいと思わざるをえませんね」
送致を受けたさいたま家裁が、いずれ刑事処分相当で逆送致し、それを地検が起訴する流れで事件の処理は進むはずだ。公判も見据えた今後が注目される。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班