実務レベルでの「研究長」として責任

――ひとつの番組にそこまでの労力をかけるのは、やはりMCとしての責任感から?

MCでもあり、研究長としての責任ですね。自分が発表する場合は収録本番の3日くらい前から本格的に取り組むのですが、ギリギリまでリサーチをお願いしたりもするし、それが雲を掴むようなお願いだったりもする。それでも、考えに考えた結果、その情報は使わなかったりもします。

一方で、研究員という役割の出演者の皆さんは、ほかの番組と比べても圧倒的に労力がかかることを承知で、忙しい中参加していただいている。だからこそ、自分が一番大変な思いをしていないと申し訳が立たない。

それはスタッフさんに対してもそうで、スタッフさんも寝ないでリサーチしていると思うので、僕も負けないくらい寝ないで作業します。つらい仕事だとは理解していますが、『バカリズムも寝てないんだ』って思えば、多少の励みにはなるのかなって。

とにかく自分が一番、時間と労力をかけて、この番組に取り組まなきゃと思っています。

収録で発表が行われる檀上
収録で発表が行われる檀上

――バカリズムさんの肩書き「研究長」というのは、番組上の設定ではなく、実務レベルでの研究長だと。

完全に実務です。バラエティ番組だと、名前だけの所長とか局長とかありますが、この番組においては、ちゃんと先頭に立って、実際に研究に取り組んでいるからこそ呼んでもらえる研究長です。

そのうえで、あくまで番組ですから、なにより本番でウケることによって、それまでの苦労も報われると思うので、ちゃんとおもしろい研究発表になることは常に意識して、大事にしていますね。

あとは、これも研究長の責任として、スタッフさんのモチベーションを維持することも心がけています。極力飛ばないように、慰労会と称してみんなで焼肉に行ったりもしています。

――テーマ選びにおける、わかりやすさと、あえてのニッチさのバランスについては?

誰が発表するかによっても違ってきますが、僕の場合でいうと、テーマを発表したときにキョトンとされるくらいのほうがゾクゾクはしますね。

これまで誰も興味なかったようなものを掘り下げるというのが、もともと番組の趣旨としてあるので、やっぱり誰もが食いつくようなテーマよりは、最初に「なんだそれ?」って思われるくらいの無意味さはほしいかなと思います 。

――バカリズムさんの中で、番組の理想形というか、うまくいったなと思う回は?

情報とおもしろさのバランスがよかったのは、最近だと「言ってない名言史」ですかね。

――石田純一さんが、実は「不倫は文化」とは言ってなかったとか。

それです。ほかにもよくよく調べると、実は言ってない名言がたくさんあって資料を読むだけでも楽しかったです。それをまとめて、お笑いの方向に持っていくために、しょうもない展開も考えつつ、自分のネタっぽい感じにできて、うまくバランスがとれたなと思います。