保護者との距離が近く…この年齢だからこそできること

このように、教員をとりまく環境には?大変な変化もある中で、35歳という年齢になったことで、いい変化も生まれ始めたという。それが3つ目。“親としての実体験”が、保護者との関係を良好にすることだ。

家庭での経験が現場に生きるとき(画像はイメージです/Shutterstock)
家庭での経験が現場に生きるとき(画像はイメージです/Shutterstock)
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「この年齢だと、年齢的に子育てをしながら仕事をする職員が大半を占めます。私も現在、2児の子どもを育てる父親となりました。子育てをする中で、子どもの成長の様子や大変さを知り、保護者との面談では、そのような共通の話題で話が弾むことも増えました。

保護者目線で見ると、自分の辛さに共感してくれ、一緒に解決法を考えたりそれを実践したりしてくれる相手にあまり嫌な感情を抱かないので、学校への不満も少なくなってくるのでしょう。

また以前は保護者の方からのご指摘やご意見に対して、『過剰すぎるな』と感じていたこともありますが、自分が子どもを持つようになって、その気持ちも理解できるようになりましたね。

特に、低学年の子を持つ保護者にとって、子どもを学校に預けるなんて想像以上に不安なことです。担任教師に不安点が少しでもあると、すぐに学校に連絡をしたくなってしまうので、私はとにかく保護者が不安にならないよう、保護者目線で“安心できる教師像”というものを意識して、ふるまうよう心掛けています」

子どものころは、完全無欠に見えていた先生たちも、裏では日々悩み、子どもたちとともに成長を続けている。

取材・文/集英社オンライン編集部