「茶碗に指をかける」のは本当に海軍式の作法だった!
SNSでもっとも物議を醸したのは、石破首相の茶碗の持ち方であった。しかし、これについては〈茶碗やお椀を持つときに、人差し指をひっかけるのって、海軍式ですよね? こういう持ち方になったのは、船上での揺れ対応&狭い船内でスペースを取らないためのはず〉〈うちの祖父(元海軍)が味噌汁をこの持ち方してましたね 狭いから脇を占めて食事する癖がついたって言ってました〉といった擁護の声も多く見られた。
石破首相は政界きっての“軍事オタク”として知られており、防衛大臣も務めた経験もある。こうした背景を踏まえると、たしかに納得できる部分があるのかもしれない。
果たして、海軍には実際にこうした食事作法が存在していたのか。海上自衛隊の活動に協力し、海軍の事情にも詳しい水交会事務局長・徳丸伸一氏に話を聞いた。
徳丸氏は「現在の水交会には海軍の習慣を知る方は来られておらず、直接確認はできない」としながらも、「確認できる範囲で」と教えてくれた。
「海軍兵学校の食事風景を写真で確認した限りでは、現在と変わらず通常のお茶碗の持ち方をしています。また海上自衛隊においても、茶碗と箸は家庭で教えられたように持っており、特別な指導は行なわれていません。
ただ、今はわかりませんが、我々が防衛大学校の学生だったころは特殊なお茶碗で食事をしており、人差し指をお茶碗の中に入れて食べていました。
これは、アルマイト製と思われる茶碗ひとつひとつにコメと水を入れ、それを一度に大量に蒸かして食事を提供していたため、器が熱く、親指、人差し指、中指で挟むようにしないと持てなかったからです」(徳丸氏)
また石破首相といえば、内閣発足時の記念撮影でも、ズボンがずり落ちていたり、シワが寄っていたりと着こなしの面で批判を浴びた。前出の加藤氏はフォーマルシーンも専門としているため、この点についてもたずねてみた。
「たしかにズボンが下がっている分、生地が余ってしまい、裾もダブついてヨレているように見えてしまっています。また、ズボン中央の折り目がはっきり見えないことで、さらにヨレた印象を与えているかもしれません。
ただ、首相は恰幅がよろしい方なので、階段を降りる途中でズボンが徐々に下がってしまい、ご本人も気づいていたものの、報道陣がいる手前、直せなかったのかもしれませんね」(加藤氏)
就任早々、あらゆる角度から批判を浴びることになった石破首相。さまざまな事情があるにせよ、公の場に現れる際には、マナーや服装にも気を配ってもらいたいものだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班