自身の“出産”を理由に金を要求
「私が第一の被害者ではないでしょうか」
こう語るのは、都内に住むBさんだ。
Bさんが“井田”とマッチングアプリで知り合ったのは2016年8月のことだという。集英社オンラインが接触した複数の被害者のなかでも、一番古い記録になる。
「井田とはマッチングアプリで知り合いました。全国に被害者がいると思われるので確認の取りようがありませんが、私が知る限り、井田が騙した男性のなかで私が被害者の1人目か初期のほうになるんじゃないでしょうか。
だから、少し後のほうの被害者と比べて、感覚的にですが、井田が言っていたことにまだ多少の事実の部分があったような気がします」(Bさん)
Bさんが“井田”と知り合った2016年8月というと、井田容疑者がまだ20歳にもなっていない頃になる。
「当時私は、マッチングアプリで実際に会える女の子がいないか探していました。こういうアプリには、運営会社が課金や会員数の水増しを目的に雇っている“サクラ”が多いと聞いていました。
井田と何度かやり取りをするうちに地元が近いことが分かり、LINEでのやり取りになったので、サクラの女の子ではないとすっかり安心していました」(同前)
井田容疑者の出身地は東京都板橋区だ(#1と#2では、井田容疑者の親族や地元での評判を詳報した)。Bさんが続ける。
「井田とのやり取りのなかで地元の店とかローカルな話になって、サクラじゃなくて本当に出会いを探している女の子だと最初は思いましたね。実は、井田は当時まだ妊娠中で、出産する病院の名前が分かる写真が送られてきたんです。その病院が私も知っている病院だったので、より身近に感じました」
妊娠中に男性とマッチングアプリで出会っていた井田は自身の“出産”を理由にBさんから金を借りたという。
「最初は、『子どもが生まれるから引っ越さないといけない』とか『出産費用』だとかそんな名目でした。その後は『神奈川のホテルに監禁されている』とか『ホテル代が払えない』とかそんな理由で金を要求してきました。
半年から1年の間に、合わせて300万円の被害に遭いました。これまで一度も井田とは実際に会っていません」(Bさん)