「いろんな広告見たけど、逆に落ち込む」と悲しくなる人も

ただ、駅の広告や公式サイトを目にしたXユーザーからは、ダヴの広告意図とは異なり、それまで知らなかった“正解”とされている美の“基準”を知らしめ、かえってルッキズムを助長する可能性があるのではという批判が相次いでいる。

しかし、この用語を知らない人はもちろんいたかもしれないが、ダヴが今回広告に使用した“基準”は常識となりつつあるのが実態ともいえる。

SNS、特にInstagramでは美容にまつわる投稿が溢れ、多くの若者が美の“基準”について知識を深め、美へのこだわりや執着が加速している。美容整形の低年齢化も問題になっており、小学校低学年から美容整形外科を訪れる子どもも増えているという。

美容学校の教員はこう語る。

「確かにメイク講座など美容業界ではダヴが挙げたような美の“基準”とされる用語は普通に使用されています。昔と比べてもSNSで圧倒的にこうした“基準”は浸透しているからこそ、受講する学生にはすでにこういった“基準”へのコンプレックスがある子も多くいます。

なので、生徒たちは、その“基準”に少しでも近づこうと、メイク技術を上げようと努力しているんです。ただ、今回の広告をSNSで見て、あらためて自分の顔のコンプレックスを実感してしまったのもわかる気がしますが……」

ルッキズムについて巷間論じられることはもはや目新しいことではない。語り継がれる美の基準は、流行や個性とのバランスのなかで今後どうなっていくのか。今回のダヴの広告はこうした風潮に一石を投じたのかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班