14人の不登校児と島民が織りなす離島合宿とは

日本海に浮かぶ島根県の離島・隠岐の島町。島民約1万4000人が過ごす自然豊かなこの町に今年7月下旬、全国各地から不登校の子どもたち14人とその親11人の計11組25人が集まった。

出身は北海道から東京、広島など津々浦々で、小学2年生から高校1年生まで年齢層も幅広い。久しぶりに外に出た子どももいて、みんなどこか緊張した面持ちだ。

緊張した面持ちで自己紹介する不登校の子どもたちとスタッフ(アナザーステージ提供、以下同)
緊張した面持ちで自己紹介する不登校の子どもたちとスタッフ(アナザーステージ提供、以下同)
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隠岐の大自然を堪能しながらカヤックを楽しむ子ども
隠岐の大自然を堪能しながらカヤックを楽しむ子ども

 ここから不登校児と島民による2泊3日の離島キャンプが幕を開ける。海に繰り出しての魚釣りやカヤック、自然を生かした工作活動に、夜は海辺でのBBQや文化会館を貸し切っての音楽ライブ…そしてテントとログハウスで宿泊。

当初は「正直あまり行きたくなかった」と話していた子どもも、最終日にはフェリーの中で「また来ます」と涙を流しながら叫ぶ姿があった。

フェリーで隠岐から出航する参加者
フェリーで隠岐から出航する参加者
参加者を見送る島民たち
参加者を見送る島民たち

昨年から開催され、静かに話題を呼んでいるこのキャンプ。企画したのは一般社団法人「アナザーステージ」代表理事の渡部正嗣さん(59)だ。

「不登校の子どもたちは自己肯定感が低く、自分に自信を失ってしまった子どもたちが多い。『君たちは何も悪くないし、もっと自由に生きていい』、そんなことを隠岐で伝えたいと思いました。みんな間違いなく強い力を持っていますから、隠岐での経験を自信に変えてほしいんです」

渡部さんがこの活動を始めるきっかけは、次女の6年間に及ぶ不登校だった。