CHAGE and ASKA といえば、シングルCD200万枚以上を売り上げた国民的ヒット2作「SAY YES」「YAH YAH YAH」を想起する方は多いだろう。
彼らの1990年代以降の快進撃を知らない世代からすれば、もしかすると「その2作しか知らない」という方もいるかもしれない。
近年、中田裕二 (ex. 椿屋四重奏) や澤部渡 (スカート) をはじめ、玄人筋の支持を集める国内のロック/ポップのミュージシャンたちからも、その緻密なコードワークや楽曲構成へのリスペクト表明が相次いでいる。
そうした再評価の機運が高まるなか、2024年10月1日、満を持してストリーミング配信が開始された。
いわゆる“サブスク解禁”のこのタイミングで、前述のダブルミリオンヒットに留まらない、彼らの奥深い音楽性を改めて多くの方に知っていただけたらと思う。
セールス絶頂期に残したUK録音の金字塔『GUYS』
CHAGE and ASKAがイギリスの音楽シーンと深い関係性を築いていたことは、あまり知られていないかもしれない。
彼らがイギリス・ロンドンの音楽家たちと生み出した作品には以下が挙げられる。
・『ENERGY』(1988) ※レコーディングは東京
・『SEE YA』(1990)
・『GUYS』(1992)
・『ONE』(1997) ※ASKAソロ
・『NOT AT ALL』 (2001)
ここでは、「SAY YES」(1991)の国民的ヒットを経てリリースされたアルバム『GUYS』に着目したい。
コード進行の妙技もさることながら、そのサウンドデザインや録音、アレンジ面で、日本のメインストリームでは異例の色褪せない美しさを今なお放っている。
現地のミュージシャンを率い、当時のUK R&B的な音楽性を極めた名盤だ。
参加ミュージシャンに少し触れると、例えば主要アレンジャーとして過半数の楽曲に関与したジェス・ベイリーは、スパンダー・バレエ『True』(1983) やシンプリー・レッド『Stars』(1991) への参加でも知られる名うての鍵盤奏者。
ほぼ全曲のドラムを担ったニール・コンティは、UKの至宝ともいうべきポップバンド、プリファブ・スプラウトのメンバーであった。