エンタメをYouTubeで吸収する現代の小学生
小学生のUSJ人気増加の背景には、人気コンテンツとのコラボだけではない。
東京ディズニーリゾートが収益化を狙ったYouTube動画を制限するようになったことも関係しているという。
「USJの公式サイトにもパーク内での『著作権侵害につながる、営利目的の撮影』や『LIVE(生)配信やそれに準じた撮影』に制限を設けていると記載がありますが、このような制限項目をしっかりと守って撮影しているのであればYouTuberの動画は問題ないと見られます。
一方で東京ディズニーリゾート公式サイトでは、利用約款の禁止行為の項目に『商業目的の撮影』と記載があり、これが収益化しているYouTuberの動画コンテンツにも当てはまると示唆されているんです。
現代の子どもたちはYouTubeでエンターテイメント情報を得ることが多く、YouTuberも人気職業の1つです。東京ディズニーリゾートでの動画企画が制限されたため、YouTuberのテーマパークの動画企画がUSJに流れるようになったものと考えられます。それを見た小学生たちがUSJに惹かれるようになったことも、人気を集める要因のひとつでしょう。
また、USJには特定のハッシュタグを付けた投稿に応じてランクが上がるファンクラブ『USJファン』があります。これは、ステマ問題でインフルエンサーの案件が難しくなったため、ファンクラブに入会している公証のファンがSNSで投稿することで、情報の信頼性を高める仕組みと見られていて、情報拡散や広告を目的とした手段だと考えられます」
USJはディズニーとは違い商業目的の動画制限を設けないことで、SNSを宣伝手段としてうまく活用しようとしているようだが、一昨年話題となった『下着ユニバ炎上』のような、モラルに反した投稿がさらに出てくるかもしれないという懸念点もありそうだが……。
「『下着ユニバの炎上』では、来場者がパーク内で着替え、スタッフに気付かれずに撮影してSNSに投稿したことが問題となりました。
入園時点であのような格好でない限り、強制退去させることは難しいようです。
今後、こうした事例が続けば、USJも対策や罰則を導入するかもしれませんが、これは投稿者のモラルの問題。
今回のような、USJ側に非がない炎上がメディアに取り上げられることは、USJ側にとってはメリットとも捉えられ、注目度が上がる側面もあるでしょう」
来場者の自由を規制しすぎず、子どもたちにいい体験を与える大らかなテーマパークのUSJ。今後も我々が予想だにしない仕掛けで楽しませてくれて、世界1位の座を射止めて欲しいものだ。
取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio) 写真/Shutterstock