「また同じことを繰り返してしまう」

今回の事件では、7月の夏休み前に女児が1人で呼ばれ、加害男児の「反省の言葉」を教員らが代読するのを聞かされたという。「反省の言葉」は再発防止になりえるのか。

「『反省の言葉』だけでは判断できません。自分がしたことがどのようなことなのか、わかっているのかいないのかが大切です。もし、わかってない場合はまた同じことを繰り返してしまうかもしれません。『(SNSから発覚したので)次はスマホを持っていない子にしよう』としか思いませんよ」    

なお、加害男児を転校させるのは「得策とはいえません。先述のとおり、わかっていない状態で保護者が転校を決めてしまうと『逃げればいいんだ』という負の教訓を与えてしまいかねません」とマッキーさんは一蹴する。

「教えるべき教訓は『自分がしたことで相手が傷ついた』ということ。セックスや自慰行為は悪いものではなくて、相手の同意なしに行うことがだめなのだと、まずは家庭で親が教えなくてはなりません」

性加害者に関する書籍の中には「妹になにをしても、親からなにもいわれなかった。だからやってもいいと思っていた」という事例もある。

「親から教えるのが難しければ、専門家やカウンセラーを活用してください。さらに、スポーツなり趣味なり、新しい発散先を見つけるのがいいですね。今回の男児は3人で犯行に及んでいるので、付き合うお友達も変えるなど場合によっては考えるべきです」

写真はイメージです
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今回の事件では「女児がSNSでやり取りしているのを親が発見」して発覚した。子どもが被害を訴えやすい環境を作るためには、どうすればいいのだろうか。

「性についての話をしていない家庭環境では、子どもは親にいえません。ほとんどの家庭では性教育は行われていませんし、必要だと思っていても時間的な余裕がなくできない事もあります。改まって膝を突き合わせて『あのね、プライベートゾーンといってね……』というのはハードルが高くなかなか実行できません。それより、日常生活の中に組み込める性教育を行うことをおすすめします」

では、親はどう家庭内での性教育を行うべきか。

「基本的なスタンスとして『性教育ができない! したくない!』という方は絶対に自分で行わないでください。今はさまざまな性教育の絵本や書籍が発売されています。そういったツールを家庭に置いていくだけでも立派な性教育です。

ちょっといやらしいですが『この本、おもしろいなー。小さいときに読みたかったな。大切だから置いておくね』と聞こえよがしにいってみるのもおすすめです」

「また、プライベートゾーンについては「発達段階にもよりますが、幼児の場合は計300回は言及しないと行動に移せません。 1番簡単に下着の中の話をする方法として、下着の色チェックがあります。『下着に赤色が付いたら教えてね』『痒かったらすぐいって』といったように具体的なトラブルを子どもに提示しておくと、なにかあったら保護者にいうんだという意識づけになります」

写真はイメージです
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子どもが被害にあった場合、親はどう対処すればいいのだろうか。

「幼いころに性被害に遭った子の中には、思春期に、なにが起こったのかを知り『私は汚らわしいんだ』『身体を使えば喜んでもらえる』と勘違いして、風俗業界に走る子もいます。“性行為=悪”と考えないように、定期的にカウンセリングに行ってあげて、認知の歪みを修正してもらうのがいいですね」

「また、性被害者の親はまず自分を責めます。これまでなぜ気づかなかったのか、あのとき○○していれば…将来結婚できなかったらどうしよう、と。 親の気持ちを吐き出すために、専門家を頼ることをおすすめします。実はこれは加害者の保護者にとっても必要と考えています」とマッキーさんは最後に語った。