日本大使館は2日にわたりメールで注意喚起をするが… 

男の動機はいまだ明らかになっていないが、中国といえば反日感情が強いことでも知られている。

事件が起きた9月18日は、1931年の満州事変の発端となった柳条湖事件(瀋陽近郊で日本の関東軍が線路を爆破した事件)が起こった日だった。また、9月は日中国交正常化を宣言した日中共同声明が発表された月でもある。

中国では約3ヶ月前の6月にも、東部の江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われ、日本人の親子がけがをする事件があった。現地では警戒が高まっていただけに衝撃が広がっている。この事件では、男を止めようとして刃物で刺されて重体となっていたバス案内人の54歳の中国人女性が死亡した。

また、中国外務省は「事件に関連がない」としたものの、今年6月、アメリカ人もいきなり刃物で刺される被害に遭っていた。AP通信によると、6月初め、東北部・吉林省の公園で中国人の男がアメリカ人の大学講師4人を刺し、介入しようとした中国人も負傷する事件があったという。

留学生に送られてきた注意喚起のメール(留学生提供)
留学生に送られてきた注意喚起のメール(留学生提供)

日本大使館は中国国内にいる日本人に対し、18日に続いて19日も安全の確保に努めるようメールで通知した。メールでは、外出の際は不審者の接近など周囲の状況に留意し、特に子どもを連れて外出する場合は十分に対策をとるよう呼びかけているという。

中国本土に留学中の日本人大学生(30代)はこう話す。
「面と向かって反日感情に直面したことはないですが、『気をつけて』と言われても具体的に何かできることがあるわけでもない。普通に暮らすしかない」