マスコミや一般客を完全シャットアウトして行われた〝秘密の宴〟

「日本の海産物が危ない」

科学的な根拠を無視して喧伝された中国政府の“反日政策”は中国のネット民らによる各所への「電凸」の波状攻撃を招来し、日本の農林水産業に深刻な被害をもたらした。「処理水問題」で冷え切った日中関係は改善のめどさえ立っていないのが現状だ。しかし、中国政府のこうした強硬姿勢とは相容れない光景が、9月19日、皇居にほど近い都内高級ホテルで繰り広げられていたことはあまり知られていない。

「茅台東京饗宴の夜」。
ホテルの案内板、3階宴会場の欄にはこう記されていた。

都内高級ホテルで開催されたパーティー(出席者提供)
都内高級ホテルで開催されたパーティー(出席者提供)
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マスコミや一般客を完全シャットアウトして行われた〝秘密の宴〟。その中身について、事情を知る中国政府関係者がこう打ち明ける。

「この日、開かれたのは、中国最大の酒造メーカーである貴州茅台酒(きしゅうちだいしゅ)によるレセプションパーティーでした。中国大使館・領事館の代表のほか、日本企業の関係者も多数招かれ、総勢100人以上の盛大な集まりになったようです」

貴州茅台酒が製造・販売している「マオタイ酒」は日本ではなじみの薄い酒だが、中国国内では広く親しまれている蒸留酒「白酒(バイジュウ)」の代表的なブランドだ。800年余りの歴史があり、インターネット通販では、1本(500ml)数十万円で取引されることもある。
1972年、日中国交正常化式典の宴席では、時の田中角栄首相と周恩来総理が乾杯酒とするなど、外交の場面でも事実上の「国酒」として扱われてきた銘酒だが、販売元の貴州茅台酒も企業グループとしての存在感は群を抜いている。

パーティーには日本企業の関係者も多数招かれ、総勢100人以上が集まった(出席者提供)
パーティーには日本企業の関係者も多数招かれ、総勢100人以上が集まった(出席者提供)

「中国・貴州省茅台鎮の地酒メーカーでしたが、現在は貴州省の地方政府が経営に携わっている公営企業。2001年には上海証券取引所に上場を果たし、2017年には時価総額が飲料メーカーとしては世界最大となり、2020年には本土上場株で中国企業のトップに立った」(中国市場に詳しい企業関係者)