自分の免疫で自分の細胞を攻撃する状態にも
高齢になると、体を動かす機会が減ったり体の可動域が狭まったりして、動かしにくくなるという問題が生じますが、その最初の段階には「動かない」ではなく「動かしていない」ことがあるはずです。このときに制御免疫が働けず、攻撃免疫が暴走して攻撃を続ける免疫暴走状態が起きてしまうことに。
また、免疫暴走を抱えていると、リウマチを発症するケースもあります。リウマチは遺伝的要因や環境的要因に加え、免疫系の異常が複雑に絡み合って発症するものです。
たとえば遺伝的素因を持っている人が、喫煙や感染症などのきっかけで免疫のバランスを崩すと、自分の免疫で自分の細胞を攻撃する、つまりリウマチとなってしまうことがあるのです。単なる関節痛なのかリウマチなのか、自己判断は難しいため、病院で検査をして確認することをおすすめします。
免疫暴走から肥満に至るケースも
【肥満】
過食や運動不足などで肥満になると免疫暴走が起こるのですが、逆に、免疫暴走から肥満に至るケースも増えてきています。
まず、炎症性サイトカインには脂肪細胞の分化を促すはたらきがあるため、脂肪組織が増えていきます。また、細胞に糖を取り込ませるインスリンのはたらきが阻害されるため血中に糖があふれて高血糖になり、その糖は脂肪へと蓄積される一方に。ホルモンバランスも崩れ、満腹感をもたらすレプチンというホルモンのはたらきが阻害されてしまうと食べても満腹感を得られず、過食になるのです。
加えて免疫暴走状態だと、エネルギー産生をしているミトコンドリアにも負担がかかるためエネルギー不足になり、糖や脂質の消費量も減ってしまいます。
このようにして肥満が引き起こされることもあるのです。