「知事に食べてほしいと持ってきていただいたもの」
知事は、先方が送ってくるものについても同じふるまいをしていたようだ。問題を受け人事課が行った調査に3人の秘書が答えた内容を、竹内英明県議が暴露した。
「3人はみな『(県庁に届く贈答品は)知事がすべて持ち帰る』と答えています。3人に直接、すべてですか?と確認すると『1回だけ、リンゴが分けられた』『ナッツ類など知事の口に合わないものだけは職員に配られる』という返事でした」(竹内県議)
これにムッとした斎藤知事が驚くような主張を始めた。
「事実ではないですね。私の口に合わない、合うとかではない。(知事)就任当初に、知事室に届けられるものがたくさんありました。これを(職員)みんなに配るってことが本当にいいのか。秘書課、特定の課の人だけが知事室に届いたものを食べるということが本当にいいのかどうか…」(斎藤知事)
「支離滅裂やん」という声が傍聴席から飛び、「それで自分だけ持って帰るんですか?」と竹内県議が突っ込むのにもひるまず、知事は言い切った。
「私がやっぱり持ち帰って食べさしていただくということがいいんじゃないかということでやらしていただいた」(斎藤知事)
要するに「事実ではない」と反論したのは、「自分の口に合わないものは持ち帰らない」というのではなく、「全部いただく」のがマイルールだと主張したわけだ。
県内の自治体や地場産品業者が県知事に贈答品を送ることは以前からあり、それ自体は知事を責める話ではないと兵庫県関係者は指摘する。だが斎藤知事は少し違うらしい。
県職員アンケートでは、井戸敏三・前知事はこうした県への贈り物を「みんなで食べや」と職員に分けていた、との指摘があった。県職員によると「県内の産品がどのような味なのか知っておかなければPRもできないではないか」との考えが井戸氏にはあったという。
こうした経緯を念頭に、全部独り占めするのは「(斎藤知事が掲げる)刷新どころか後退ではないのですか?」と庄本悦子議員も突っ込んだ。すると斎藤知事はこれにも次のようにすらすらと答え、傍聴席の怒りはさらに高まった。
「そこは逆に、私としてはルールというか、きちっと明確化したとうことです。毎回毎回届けられているものをなぜ秘書課の職員だけが食べれるんだという問題もあります。だから、基本的に知事に食べてほしいということで持ってきていただいたものを、私は、自分としていただくということを判断して(いただきました)」(斎藤知事)
あちこちの職場に順番に配れば問題にもならない話を、独り占めすることで解決したと言い立てる奇妙な主張に、庄本議員も「私は秘書課(に配れ)とは一言も言っていません」と怒りの表情を隠せない。