都心・湾岸を中心に暴騰、それにつられて中古物件も…

そして中古マンションの価格も新築につられて上昇しているという。

「新築で特に価格が上昇しているのは港区、中央区、千代田区と豊洲・勝どき・月島などの湾岸地区です。そして、こうした地区では近くの新築物件につられて中古物件の価格も伸びる動きがみられます。

26年4月に竣工予定のグランドシティタワー月島は月島駅から徒歩5分で平均坪単価850万円以上の販売価格ですが、駅直結のキャピタルゲートプレイスザ・タワーは2015年竣工にもかかわらず、駅への近さがメリットとなり高い物件は坪800万円台後半で取引されております。

建設中のグランドシティタワー月島(稲垣氏撮影)
建設中のグランドシティタワー月島(稲垣氏撮影)

同様に品川駅の港南口にできるリビオタワー品川は2026年竣工予定で、価格は未定ですが、近隣のタワマン価格はここ1年で坪400万から550万円に上昇しました。こうした動きを振り返ると、今後の新築マンションの上昇に伴って都内の中古物件も堅調に推移すると考えられます」

新築の供給が続くエリアでは中古物件も上昇し、相場全体が上がるという話である。では、新築の供給が無いエリアはどうなるのだろうか。

「湾岸に関して言えば、近隣に新築物件がなくても値上がりする動きが見られます。
例えば昨年竣工したパークタワー勝どきは今年に入ってから中古の価格が坪単価950万円と異例の値上がりを見せました。駅直結とそのデザインが評価されているのですが、やはり買いやすい価格ではありません。

そこで、高すぎる新築を避け、豊洲や有明の中古物件を検討するという消費者の動きがみられました。2019年に竣工した有明のシティタワーズ東京ベイはこうした動きを受け、坪単価が380から580万円に急上昇しています。」

パークタワー勝どき(稲垣氏撮影)
パークタワー勝どき(稲垣氏撮影)

都心・湾岸エリアでは中古、新築問わずマンション価格の上昇が続くようだ。北区や葛飾区のようなエリアにおいても、駅前にあるシンボルタワーやタワマンなど、限定的ではあるが上昇が見込まれると稲垣氏は話す。

しかし、そんな上昇が続く中で起きたのが、日銀の利上げをきっかけとする株価の変調と円高だ。日銀は8月1日より政策金利を従来の0~0.1%から0.25%に引き上げたことで、株価は一時ブラックマンデー超えの下落幅を記録し、為替も円高方向に流れが変わった。

これによってマンション価格は下がるのではという「期待の声」がSNSであふれた。果たして本当に下がるのだろうか。