「あの家を建てるまでは渋谷家と片山家の関係も良好だったんだ」
片山容疑者は歯科技工士の父と、亡くなった渋谷昭一さんの長女である母、兄の4人家族で菊川市の西隣の掛川市内で育った。♯2でも報じたように、木造3階建ての住宅は大工だった昭一さんが長女一家のために建てたものだが、実はこれが渋谷家と片山家を分かつ原因になっていたことが親戚の証言でわかった。
二世帯住宅の利便性を考慮して設置したエレベーターに不具合があり、補償問題にまで発展。同居していた義父母と折り合いが悪くなった長女は片山容疑者を連れて離婚、父と兄と離れ離れに暮らすことになったという。
「あの家を建てるまでは渋谷家と片山家の関係も良好だったんだけどな……」
昭一さんの遠戚にあたり、交流の深かった男性はため息まじりに両家の確執を語り始めた。
「もともと昭ちゃんの長女の娘が片山家に嫁いで行ったんだけど、家には舅と姑もいた。その片山の家が区画整理の関係で新しく建て直すっていうんで建てたのが今の3階建の家だ。長女の嫁ぎ先ってこともあって、まぁお金的にも昭ちゃんは引き受けたんだと思う。
それで家を建ててから何年か経ってから、欠陥が見つかったんだ。3階建てにした関係で取り付けたエレベーターに不具合があったんだな。片山家は昭ちゃんに対して補償を請求してそこでゴタゴタになった。
お金の面でどう解決したのかまでは聞いてないけど、片山家と昭ちゃんが揉め始めてから、一番辛い思いしてるのは長女だったんじゃないかな」