祖父は工務店で大工をやっていた

渋谷さん方は長女を加えた4人家族で、事件当時不在にしていた長女が留美子さんから連絡を受け、「自宅で男が暴れている」と菊川署に通報した。男は孫の片山宏一容疑者(27)。宏一容疑者は、この日の昼ごろ渋谷さん宅を訪れて3人に襲いかかったとみられる。

「遺体には複数の切り傷があり、よほどの恨みがあったと思われる。現場には凶器とおもわれる刃物も見つかっている」(社会部記者)

事件現場となった渋谷さん宅(撮影/集英社オンライン)
事件現場となった渋谷さん宅(撮影/集英社オンライン)
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現場は東名高速道路菊川インターチェンジにほど近い、古い民家と新しい住宅が混在するのどかな住宅街の一角。渋谷さんは今は引退しているが、親の代から大工として地元でも知られた存在だった。近くに住む女性は渋谷さん一家についてこう語った。

「昭一さんももう80歳を超えているので引退していますが、お父さんの代から工務店を営んでおられたお宅ですよ。今月の20日に地元のお祭りの準備があって、昭一さんともそこでお会いしましたけど、特に変わった様子もなく普段通りでしたよ。

奥さんの育子さんと最後に顔を合わせたのは26日でしたね。公民館で年配の方たちが集まるサロンがあり、育子さんが『一緒に行きましょうよ』と声をかけてくれたんです。事件当日は私は外出していましたし、ご夫婦とも家庭内のことを話すような方達ではなかったので何があったのかはわかりません」

逃亡している宏一容疑者についてはこう語った。

「お孫さんというのは、長女の方に20代くらいの息子さんが2人いるので、そのどちらかだと思います。もともと長女は結婚して静岡県内の別の町に住んでいたのですが、5年ほど前に離婚して実家に戻ってきました。その時点で息子さん2人はもう独立していたので、同居はしていませんでした。だから姿を見かけたことがないんですよ」

渋谷昭一さん(知人提供)
渋谷昭一さん(知人提供)

 渋谷さん方では庭先にサツマイモを植えていて、昭一さんと育子さん夫妻が手入れをする姿は、近所の人たちにもお馴染みの光景だった。近くに住む男性(75)は、やはり祭りの準備をしていた20日に昭一さんと最後に顔を合わせたという。

「お祭りでお地蔵さんをお参りするので、その周辺の草刈りなどをやっていただきました。昭一さんは普通の真面目な人ですよ。工務店で大工をやっていて、今はもう家を一軒建てるまではやっていないと思いますが、ちょっとした家の補修ぐらいならばやるという感じでした。

半分は引退してるような状態だと思いますが、今でも軽トラに材料を積んで走っているのをよく見かけました、恨まれるような人ではありませんでしたよ」