「2018〜2020年頃の伊藤選手が本当に強かった」
中西さんは、「もちろん今は早田選手が一番強い」と前置きしたうえで、対中国の成績や大会での実績を考慮すると、まだ歴代最強とは言い切れず、同世代の伊藤や平野とそれほどの差はないと指摘する。
また、大丸さんも「史上最強選手の筆頭候補では間違いなくありますが……」としたうえで、伊藤の名前をあげた。
「やはり、2018〜2020年頃の伊藤選手が本当に強かったですからね。2018年の世界選手権団体戦決勝で、対日本選手37連勝中だった中国の劉詩雯に勝利したのを皮切りに、数年間で中国選手にシングルスだけで10勝以上上げ、実力は中国選手とほぼ同等、どちらが勝つか本当にわからないというレベルにありました。伊藤選手が中国で『大魔王』と呼ばれ始めたのもこの頃です。
いまの早田選手には、そんな当時の伊藤選手に近い雰囲気を感じます。今年の世界選手権団体戦決勝で、東京五輪金メダリストの陳夢に勝利したのも同じですし、この1〜2年の国内選考会や国際大会での成績は、安定感でいうと当時の伊藤選手以上だと思います。
しかし、中国選手からのシングルスでの勝利数はまだ伊藤選手ほどではないですし、当時の伊藤選手を差し置いて“史上最強選手”というには、パリ五輪の結果を踏まえないとフェアじゃないな、というのが個人的な意見です」(大丸さん)
伊藤は前回大会で、日本女子選手としては、はじめてのシングルスでのメダル、銅メダルを獲得し、混合ダブルスでは頂点に輝いた。早田は残念ながら今回、混合ダブルスは敗退してしまったが、まだシングルスと団体戦を残している。
ここで結果を残し、名実ともに日本女子の史上最強選手になれるのか。これからの戦いに注目だ。
取材・文/集英社オンライン編集部