県職員は疑心暗鬼で職場の空気は最悪

ただ、県当局がAさんを“単独犯”だとすぐに結論を出したとの見方には異論もある。別の県OBはこう証言する

「実は県は、3月末で自己都合退職をしたいと申し出ていた産業労働部の中堅幹部DさんをAさんのネタ元と疑い、退職願を保留にして調べ上げたのです。

結局4月中旬になって『退職を保留するだけの材料はあったが、懲戒処分に該当する事実はなかった』として自己都合退職を認めました。洗いざらい調べて処分できないと判断したとみられますが、当然その過程でパソコンのデータもひっくり返しているでしょう」

この産業労働部のトップ、原田剛治部長はAさんの告発文書にも登場し、4月に企業からコーヒーメーカーの提供を受けていたことが発覚した疑惑の核心人物の一人だ。Dさんが県当局に責められたのは、原田部長の行動をAさんに伝えたとみなされた以外に、今後警察に余計なことをしゃべるなと念を押す目的があった疑いがぬぐい切れない。

兵庫県庁
兵庫県庁

こうした県当局の振る舞いは斎藤知事のパワハラ以上に県職員を震え上がらせているという。

「県当局は、パソコンは県の備品だからデータを調べる権利があるとの立場ですが、こうした調査を見た職員らには『自分もいつパソコンに手を突っ込まれるかわからない』と恐怖に近い動揺が走っています。

多くの職員が飲み会の約束といったちょっとした私的内容を含むメールなども、県当局に捕まれないようにUSBなどに移しパソコンからは消しています。職場の空気が荒廃しているという次元ではありません。仕事にならないですよ」

県関係者はそう暗い表情で話す。

「同時ガサなんて、地検特捜部かマルサ(国税局査察部)にでもなったつもりか」とある県OBが口にしたのに対し、別の関係者は「地検なら捜索令状を取ってくる。県当局がやっているのは独裁国の秘密警察かゲシュタポの真似事だ」と激怒している。

このように恐怖と怨嗟の的になっている県庁の中枢には片山副知事や井ノ本知明総務部長ら“4人組”がいると集英社オンラインは伝えてきた(♯2)。残る2人は原田産業労働部長と小橋浩一理事(若者・Z世代応援等担当)で、全員がAさんの告発文書に登場する。この4人はどのようにして斎藤氏を支えることになったのか。