「3、4年前に赤ちゃんの泣き声が…」

「妊婦さんも赤ちゃんも見かけたことがない」と女性は話す。同じアパートに住んでいる男性は「一家」のことをより詳細に覚えていた。

「あの一家が引っ越してきたのはもう10年以上前ですね。ご夫婦で挨拶にみえて、お菓子か何かをもらいました。ご夫婦に加えて息子と娘、あとおばあちゃんがいてその介護もしていましたね」

しかし、その「おばあちゃん」もずいぶん前から見かけなくなり、妻も亡くなった。

「5年くらい前はご夫婦とお子さんたちがアパートの前を歩くのを見かけたし、部屋の前を通るとご飯を作ってるようないい匂いとかもしていました。夫婦で言い合うような声がすることもありましたが、いつのまにかそれもなくなりましたね。

正直に言うと、あの一家にはいつか何かが起きるんじゃないかって気はしていました。ご主人は普通に挨拶もするんだけど、奥さんは天然というか、挨拶もしないし、年齢とは不釣り合いな派手なワンピースとか着ていて、なんかちょっと変な感じだったんですよ。

息子はおとなしめで、娘は普通の子って感じです。3ヶ月前にもキャリーバッグを引いてどこかに出かけて行きましたが、この娘がアパートの前に車を止めて彼氏風の男と話していたこともありましたね」

一家が住んでいたアパートの扉
一家が住んでいたアパートの扉

赤ちゃんを目撃したことはないが、泣き声が聞こえたことはあったという。

「3~4年前にあのうちの玄関前を通った時、『オギャー』って泣き声がしたことはありました。それと、奥さんの姿を見かけなくなってからは部屋がゴミ屋敷のようになっていて、廊下の共用部分にも雑貨みたいなゴミがあふれていて邪魔でした。

それこそ1週間前くらいに便利屋さんみたいな人達が来て、部屋を片付けてゴミ袋50~60袋ぐらい持ち出してトラックに積んでいってましたよ。

実は昨日、アパートの止めちゃいけないとこに車があったので2階のその一家のところかと思ってインターフォンを押しに行ったんです。すると、警察の人が出てきて…何があったかは教えてくれなかったんだけど。それが今日になったらこれでしょ…。正直もう引っ越したいですよ……」

閑静な住宅街に降りかかった事件の解明には、少し時間がかかりそうだ。

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取材・文/集英社オンラインニュース班