「グループホームに入ったものの、心はホストから離れてなかった」

――そうしてクリニックに辿り着いたのは、どういった女性たちなのでしょうか。

ホストクラブに行った女性全員がホス狂になるわけではないですよね。むしろ「あぁ楽しかった」で終わる人がほとんどです。では、なぜ歯止めが利かなくなるほどハマってしまう人がいるのかというと、もともとその人がホストにハマってしまう性質を持っているからなんです。

――どんな性質なのでしょうか。

成育や家庭環境に起因していることが多く、それに加えて発達障害や境界知能などで生きづらさを感じている、というケースがほとんどです。

周囲とうまく馴染めなくて孤立していたり、抑えられない衝動性を持っていたり……。そんな人がホストから恋愛の絡んだ営業をされ、お店で優しくチヤホヤされると、そこに依存してしまうのです。

「この子はイケる」とか、ホストもわかって相手を選んでいるはずですよ。だから彼らに選ばれた子がホスト依存になっていると、私は見ています。

大石クリニック(撮影/集英社オンライン)
大石クリニック(撮影/集英社オンライン)

――では、その患者さんにはどのような治療をするのでしょうか。

まず医師が問診や行動観察、心理検査などを行ないます。当院を訪れる患者さんは、関心のある対象、つまりホストのことで頭がいっぱいで、視野狭窄状態に陥っていることがほとんどです。そのため、まずは患者さんの問題や思考を整理し、広い視野を取り戻すために集団精神療法やカウンセリングなどを行ないます。

そのうえで、ホストクラブから距離を置くことが大事なため、週1回は通院してもらうか、場合によってはグループホームに入居してもらい、対象に近づけない生活習慣を作っていきます。でも、通院の場合は自由にスマホが使えてしまうので、なかなか対象と関係性が切れないケースも多いです。

――グループホームには現在、ホストによる「強迫的性行動症」の患者さんが何名いらっしゃるのでしょうか。

当院のグループホームは2年前に開始しましたが、「強迫的性行動症」だけでなく、アルコールやギャンブル、クレプトマニア(病的窃盗、万引きなど)など、さまざまな依存症を持つ方々がいます。

皆さんアパートのような集合住宅の中で規則正しい生活をしていますが、その中で、ホスト依存の患者さんは現在2名です。グループホーム内には、スマホは持ち込めません。

クリニックの院内(撮影/集英社オンライン)
クリニックの院内(撮影/集英社オンライン)