1人につき1000円、最も高いのはサラ金が保有する信用情報
では、彼らが売り買いする債務者の情報はどのようにやりとりされ、どれぐらいの〝値段〟がつくものなのか。自身も2000年代初期に業界に身を置いていた元ヤミ金業者はこう内幕を明かす。
「商売を始めるときには種銭のほかに個人情報が必ず必要になる。情報屋から、債務者の信用情報を買い取る時の取引方法は、『歩合型』と『買い取り型』の二つに大別できる。
で、歩合の場合は、貸付額の5パーセントが相場。買い取りのケースだと、その情報によって値段が変わってくる。
一番安価なのは、官報の情報をまとめたもので、これは1人当たり30円が相場。情報屋が自分のネットワークで拾ってきた情報になると、1人につき100円ぐらい取られることもあった。
最も高いのは、サラ金が保有する信用情報。生年月日と住所、名前、運転免許番号で照会をかければ借り入れ状況が一発でわかる。自分も含めたヤミ金業者の多くは、サラ金にいるネタ元からこっそり情報をもらっていた。その場合は、1人当たり1000円が相場だった」
平成期に世間を震撼させた五菱会事件から20年余。バブル崩壊から経済的な没落を続ける日本社会と歩調を合わせるように、弱者を食い物にする犯罪は、ヤミ金から振り込め詐欺へと形を変え、そのありようも悪質化、巧妙化の一途をたどっている。
消え去ったはずの五菱会の名が、令和の世に再び取りざたされたということは、社会の裏側で、弱者を食い物にする犯罪の構図が、今も変わらず残り続けていることの何よりの証左だろう。
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取材・文/集英社オンラインニュース班