生き直しのコツは3点だけ
すべての指がそろっている。普通の生き方なら当然のことだ。
でも、20代のめちゃくちゃな僕のことを思い出すと、すべての指がそろっていることは奇跡的だ。一家や親分に迷惑をかけるような下手をうって、指つめを覚悟したことが何度もあった。アニキや先輩が「指を落とさなくていい」と言ってくれたから僕の指はつながってるけど、通常なら指をつめてしかるべき下手うちばかりだった。
そう、20代まで僕はヤクザだった。そんな僕が弁護士をしている。
今では弁護士バッジをつけて裁判所に出入りしているけど、20代の僕はヤクザのバッジをつけて義理場(葬式や襲名などヤクザの儀礼の場)へ出席していたのだ。
ヤクザといっても、エリートヤクザからしょうもないチンピラまでいろいろいる。僕は、ヤクザの中でも落ちこぼれ、覚醒剤に溺れるどうしようもないポン中ヤクザだった。クスリにぼけて大事な会合を無断欠席したり、クスリを買うために事務所当番を抜け出してそのまま戻らなかったりとクズ中のクズヤクザだった。
それが、今では弁護士として、社会的地位と信用を得てマトモな仕事をしているのだから、当時の僕の仲間はみんな驚いているだろう。警察の留置場に差入れられた『だから、あなたも生きぬいて』(大平光代著/講談社)を読んだ僕が大平弁護士に感銘を受けて弁護士になった。
僕が意識した生き直しのコツは、たった3点だ。
「生活リズムを朝型に整える」
「人間関係を取捨選択する」
「しつこくなる」
詳しくは書籍『元ヤクザ弁護士: ヤクザのバッジを外して、弁護士バッジをつけました』に書いたが、これだけで、かなり生きやすくなった。