暴力団員のほとんどは無職扱い
3月15日をもって、今年も確定申告の期限が終了。
税金を払うのは国民の義務。しかし、この義務を果たさないのか、果たせないのか、そういう者たちがいる。反社会的勢力と呼ばれる暴力団やその構成員である“ヤクザ”たちだ。
とある暴力団幹部に確定申告をするかどうかを尋ねると、「そんなもん、しませんよ」と呆れた声で返された。「過去に(確定申告を)したこと? あるわけないじゃないですか。どうやって申告するんですか。オレ、無職ですよ」そう言って笑うのである。
確かに職業区分に「ヤクザ」はなく、彼らは一般的に無職といわれる。どこかの組の幹部が逮捕されれば、メディアでは「○○組幹部、無職」と報じられる。
暴力団組織は任意団体であり、法的に認められた法人格のある企業ではない。そのため組員は社員でも職員でもない。組織の構成員だが、自分たちが組織に上納金を支払う側であり、当然、属していても給料は払われない。
相続でも発生すれば別だが、無職である彼らは確定申告をしない。
「稼いでいることが表に見えている者は、きっちり確定申告して納税している。ヤクザの中にも高額納税者はいる」という幹部の話を聞いて、2022年10月に岡山市北区の理髪店で六代目山口組系の暴力団幹部に襲われた池田組組長のことを思い出した。
池田組組長は山口組分裂の際、神戸山口組をその資金力で支えたと言われており、岡山県警などの推定によると資産の総額は300億円ともいわれている。それら資産は岡山県を中心とした不動産業等の、いわゆる“正業”で合法的に稼いだものだ。
「でも、そんな人間はほんの一部。暴力団組員のほとんどは無職だ。とはいえ、稼がなければ生きていない。みんな次は何が仕事になるのか、毎日探している。それくらいヤクザは金に苦しい」(前出、暴力団幹部)