NG⑤「昨日は学校に行くって言っていたじゃない」

子どもが「明日は学校に行く」と言っていたのに、朝になると「やっぱり無理」「行きたくない」と言って学校に行けなかったとき、つい出てしまう言葉です。

親としては期待を裏切られた気持ちになってしまうのですよね。でも、こう言ってしまうと、もうその日はほぼ100%登校できません。プレッシャーを感じるほど、学校に行くハードルが高くなってしまいます。

「せっかく準備したんだから、頑張ってみたら?」といった言葉も逆効果になることが多いです。親の期待や焦りを感じて、「やっぱりダメなんだ」と落ち込んでしまうのです。

それよりも「ああそう。わかった」と言って、ただ受け止めてあげるだけにしてください。動じないことが大切です。

「学校に行かなくていいよ」のひと言で不登校は長引く…不登校の子に言ってはいけない5つのNGワードとは。再登校率90%の不登校解決支援サービスが警告_4

不登校の子が、前日は「学校に行く」と言ったのに、その日になってみると行けないというのは何もおかしなことではありません。

「恒常性(ホメオスタシス)」と私たちが呼んでいる働きによるものです。

「恒常性」とは、外部からのストレスですぐにやられてしまうことがないよう、体を一定の状態に保とうとする機能のことです。わかりやすいのは体温の調節です。外の気温が上がったり下がったりしても、体温を維持して体を守ろうとする大事な働きです。

恒常性は心理面にも働きます。習慣・環境などを大きく変化させることは、未知の領域ですのでリスクがあります。一方、昨日までと同じように過ごせば、少なくとも生命の危機はありませんよね。ただちに困ったことになるとは考えにくいです。それで、現状を維持したいという心理になるのです。

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恒常性は生活や心の安定を保つために必要な働きです。だから変化は大変です。ダイエットや部屋の片づけなど「よし、明日からやるぞ!」と思ったのに、結局いつも通りに過ごしてしまった……という人が多いのも当然なのです。

ですから、不登校の子が「明日は学校に行く!」と言っても、そう簡単ではないことを理解しておいてください。学校に行くと思えただけでもすごいことです。前向きになったこと自体を褒めて、実際に学校に行くことは期待しないでいましょう。

期待は子どもにとってはプレッシャーになってしまいます。「期待が裏切られた」と思えば怒りにもなります。

今日や明日ではないかもしれませんが、必ず学校に行くことができる、問題を乗り越える力があると信じて、動じないことが大切です。