「よい子たちへ!!の巻」(ジャンプ・コミックス21巻収録)

今回は、両さんたちが子供向けの8ミリ映画を制作するお話をお届けする。

現代のデジタルによる記録媒体が普及する以前は、動画は回転式の磁気テープに記録していた。さらにそれ以前は、感光剤を塗布したセルロースやポリエステル製の帯状のフィルムに、光学的に記録していたのだ。フィルムは静止画を撮るのに使うスチルカメラでも広く使われていた。

では、作中で行われる「8ミリ上映」の「8ミリ」とはなにか。

なにが8ミリなのかというと、上映に使用するフィルムの幅だ。フィルムは動画の記録媒体であると同時に、それを見るための媒体でもある。その幅にはいくつかの規格があり、ホーム・ムービー用の8ミリ、テレビや自主製作上映などによく使われた16ミリ、劇場用映画で一般的に使われる35ミリ、大型映画用の70ミリなどがある。幅が広いほど1コマあたりの記録面積が広くなるので、画質も上がっていく。

なお静止画を撮るのに使うカメラでは、35ミリフィルムがよく使われていた。現物を目にしたことがない方もいると思うが、フィルムの端には「パーフォレーション」という穴が等間隔で開けられている。これは、フィルムを物理的に駆動して少しずつ記録面をずらし、切り替えていくための機構だ。

「浅草シネマパラダイスの巻」(ジャンプ・コミックス97巻収録)より。映画上映用のフィルム。両端にパーフォレーションが開いているのがわかるだろうか
「浅草シネマパラダイスの巻」(ジャンプ・コミックス97巻収録)より。映画上映用のフィルム。両端にパーフォレーションが開いているのがわかるだろうか

それでは次のページから、両さんたちが8ミリ映画制作に臨んで巻き起こる騒動をお楽しみください!!