「テレビ出演の巻」(ジャンプ・コミックス3巻収録)

今回は、両さんと戸塚が刑事ドラマの撮影に紛れ込んでしまうお話をお届けする。

本作が描かれたのは、『こち亀』がスタートした翌年の1977年。警察・刑事もののドラマは、テレビ放送がはじまって以来、長らく人気のジャンルだった。

1957年、日本初の刑事ドラマ『ダイヤル110番』が放送開始。1961年には、のちにジャンルの基本フォーマットとなった『特別機動捜査隊』が登場。1970年代から1980年代にかけては警察・刑事ものドラマの黄金期で、『Gメン75』『特捜最前線』『大都会』『西部警察』などの人気タイトルが次々と放送された。

中でも『太陽にほえろ!』は、日本映画全盛期に映画製作・配給会社・日活の青春スターだった石原裕次郎がボスを演じ、若いイケメン刑事と燻し銀のベテラン刑事をチーム内に配置して、ジャンルを代表する大ヒット番組となった。二代目の若手刑事「ジーパン刑事」に抜擢された松田優作の出世作でもある。本作中で描かれている撮影中のドラマ『太陽にうなれ』は、もちろんこの作品のもじりだ。

ちなみに、『こち亀』の名物キャラクター「海パン刑事」のネーミングのルーツは、このジーパン刑事だろう。海パン刑事は、もともとはビートたけしのバラエティ番組『北野ファンクラブ』内のコント「海パン刑事」の登場人物で、『こち亀』にはそのオマージュキャラクターとして登場した。

それでは次のページから、本物の警察官が警察ドラマの撮影を大混乱に陥れるお話をお楽しみください!!