捜査を避けるための“雲隠れ説”も
今期限りでの政界引退を表明した二階氏は、前述のように、すでに自身の地盤を三男に禅譲する意向を固めているとされ、「世襲」は、既定路線になっているもようだ。ただ、お膝元の和歌山には、裏金事件で自民党から処分され、離党した世耕弘成前参院幹事長がいる。
経済産業相や参院幹事長などの要職を歴任した世耕氏は、衆議院への「鞍替え」を画策しており、次の選挙では、二階ジュニアとポストを巡って激突するのは必至の情勢だ。
その場合、実力者の二階氏の存在が選挙の趨勢を決める可能性もはらんでいるだけに、二階氏の病状に関する「情報」の真偽は重要な意味をはらんでくる。こうした政治的な背景もあってか、永田町の一部からは、いまも自民党を揺るがせ続けている裏金事件との関連をささやく声まで上がっている。
「裏金事件では、自民党の全6派閥のうち、麻生太郎副総裁率いる『麻生派』以外の5派閥が解散に追い込まれました。その中でも最もダメージが大きかったのは、大量の議員への資金環流が発覚した安倍派と、収支報告書への不記載額が1億円を超えていた二階派です。
しかも、二階派の場合は、派閥のボスである二階さん自身に3500万円超の不記載が発覚している。東京地検特捜部は当初、二階さんについて所得税法違反での立件を視野に入れていたとの話もありました。
結局、特捜部の捜査は議員ひとりの立件にとどまるなど尻切れトンボで終結。特捜部の姿勢に世論は批判的で、こうした声を封じるためにも、特捜部が二階さんへの捜査を再開させる可能性は残っている。
二階さんが、そうした動きを見越して捜査を避けるためにも病院へ“避難”した、という見立ても永田町では上がっているのです」(前述、永田町関係者)
今国会の会期末が6月23日に迫るなか、解散風も吹き始めている永田町。自民党の「ドン」の動向も含み、きな臭さは日に日に増している。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班