「会社から『事務所に住んでいい』と言われていた」

今年1月7日、滝野要氏は勤務していた内装会社の事務所の鍵を壊したうえで侵入し、窃盗事件を起こしたのちに退職。現在は長野県にあるプロ野球独立リーグの信濃グランセローズに所属し、走塁コーチ兼選手を務めている。

6月24日、記者は練習を終えて国産のコンパクトカーで帰宅した滝野氏を直撃。はじめは驚いたような様子を見せたが、「以前勤めていた会社から窃盗事件として被害届が出されている件で」と伝えると、合点がいったのか「そしたら車の中で話せますか?」と記者を車内に招き入れた。

直撃取材に応じる滝野氏(撮影/集英社オンライン)
直撃取材に応じる滝野氏(撮影/集英社オンライン)
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–––今年1月まで勤めていた内装会社の事務所に不法侵入し、パソコンやWi-Fiルーター、工具、会社の携帯電話などを持ち出し、現在窃盗事件として捜査中だと伺っておりますが、これは事実ですか?

捜査中だということは事実です。まだ捜査段階なので、すべて話すわけにはいきませんが、可能な範囲で話します。

まず鍵を壊して侵入したということですが、僕は会社から「事務所に住んでいい」と言われていたので、当時彼女と一緒に住んでいました。

住民票もそこに移していたので、僕らからすると“家”なんですよ。それで年末年始の休みに実家に帰ったのですが、家に戻ってきたら鍵に2重ロックがかけられていて、中に入れなくなっていました。

まだ辞めるとは社長にはっきり告げていなかったのですが、ちょうどそのころ「野球をもう一度やりたい」という思いがあって。社長にも、会社を辞めようかと悩んでいることは告げていました。

そういった悩みがあり、年明けから数日間社長からの連絡を返さなかったので、鍵をかけられてしまったのだろうと思います。

滝野氏が鍵を壊した際に利用した鍵業者からの請求書
滝野氏が鍵を壊した際に利用した鍵業者からの請求書

–––つまり、自分の家に入っただけで不法侵入したわけではない、ということですか?

住んでいいと言われていましたし、住民票も移したわけですから。私物や家電、お金なども事務所の中に置いたままになっていましたし。

それで社長に「部屋の中に入りたいのに鍵が換えられているんですけど、どういうことですか?」とLINEをすると、社長から「仕事を続けると言わない限りは開けられません」と返信がきました。

私物もいっぱい置いていたので、僕は「開けてもらわないと困る」と言い続けましたが、向こうからは「大家の〇〇さんも仕事を続けない限りは鍵を開けられません、と言っています」と意味のわからない返信がきたりして。

これでは埒が明かないと思い、警察署に行って相談をすると、「鍵を開ける開けないは、民事の話になる。警察が強制することはできませんが、開けてほしいと言っていると伝えることならできますよ」と言うので、警察から社長に電話してもらいました。でも、「開けない」の一点張りでした。

–––だから鍵を壊して中に入った、と?

警察署へ行った帰りに知り合いの弁護士に相談したら、「自分の家に入るのに、不法侵入にはならない」と言っていたので、鍵業者を呼んで鍵を開けました。

その弁護士には、「逆に私物やお金などを閉じこめられていることで、窃盗で被害届を出せる」とも言われました。鍵を壊すのはよくないと思いましたが、さすがに入れないままというのもおかしいと思い、入りました。

滝野氏が内装会社に送った退職届
滝野氏が内装会社に送った退職届