命の次に大事なものを売ってまで金をつくる客もヤバイ
一方、「今回のケースはかなり珍しい」と話すのは歌舞伎町の元ナンバー1キャバ嬢で、現在は「club R」を経営する桜井野の花さんだ。
「ホストは女性客がお金を持ってなければ風俗勤めをさせたりしてお金をつくらせますけど、キャバクラで遊ぶ男性はお金を持っている人が大半で、女性客のように飲むお金のために仕事を変えたり体を売ったりすることは基本的にはありません。
だからこそ、今回のように命の次に大事な車やバイクを売ってまでお金をつくろうとする男はちょっとヤバイんです。
それがわからないわけはないと思うので、もしかしたら被害女性はかなりお金に行き詰まっていたのかもしれませんね」
桜井さんも男性客から一方的に付き合っていると思い込まれていた経験があるそうだ。
「以前、私に毎月のように1000万円近く使ってくれるお客さまがいました。ですが、グレーなことをして稼いだお金だとなんとなく気づいたのと、私への要求が増えてきたのもあって、これ以上引っ張るとストーカーになりそうだなと思っていたんです。
そんなときに他店のキャストからその男性から口説かれていると相談を受けたんですけど、その子に対して『野の花とまだ完全に別れてないから、君のことは推しきれない』と言っていたそうなんです。私は『付き合う』とも言ってないし、結婚だってほのめかしてないのにマジかよ、と(笑)」
それを踏まえ、桜井さんは和久井容疑者が「結婚の約束をしていた」と供述していることに関して疑問を抱く。
「『これだけ金を使ったんだから自分は付き合ってる』と思い込んでしまうなんて男性ってつくづく怖いですね。でも、被害女性もそのあたりのことは理解されていたでしょうから、本当に容疑者に結婚をほのめかしていたのかな、と少し疑っちゃいます」
客に執着されるのはトラブルの元ということで、桜井さんはキャバクラの経営者としてこんな心がけをしているという。
「私はお店の女の子たちに『club R“が”いい、じゃなくてclub R“で”いいや、くらいに思ってもらえるような、隙間を狙う営業をしてね』と言ってます。推しの次に行く店くらいの位置づけのほうが、お金を落としてくださるんじゃないかなーって思うからです」
Aさんと和久井容疑者のあいだで“結婚の約束”があったかはわからないが、「妄想にとらわれた男性は何をしでかすかわからない」と、今回取材に答えた女性たちは異口同音に語る。それは夜に働く女性たちほど知っておかなくてはいけないことなのかもしれない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 河合桃子