父親が長男を殴り、警察が介入したことも…
現場はJRと小田急の町田駅から約1キロ南で、畑や竹林が散在する中にマンションや住宅が立ち並ぶ。52歳の父親と50歳の母親が遺体で見つかったのはマンション6階の自室で、「父親と連絡が取れない」と勤務先から連絡を受けて部屋を訪れた警察官が発見した。
周辺の防犯カメラには10日昼すぎに父親とAが一緒に帰宅する姿が映っており、父親が殺害されたのはこの後とみられる。
このマンションでは父親、母親、Aの3人が暮らしていたが、事件当時Aの姿はなかった。その後、Aは14日に県内で見つかり、任意同行された後に容疑を認めたため、殺人罪で逮捕された。
社会部記者が語る。
「Aは『殺そうと思って殺したことは間違いない』と供述し、父親への殺意を認めています。継続的に叱責され不満をもっていたと動機を話しているのですが、父親はAを殴ることもあったといい、そのときは警察が介入して児童相談所に書類通告したほどだったといいます」(社会部記者)。
地元の同級生など、Aを知る人は「物静かな性格だった」と声をそろえる。小中学校時代にAと同級生だったある男子高校生はこう振り返った。
「彼は小学生のころから控えめというか、とにかくおとなしい子でした。大河ドラマが好きだったようで、同級生に歴史の話をしていました。特に戦国時代の話が好きで、武田信玄とか織田信長とか武将の名前を出していましたね。
たしか小学校の頃はサッカークラブにも所属していたけど、中学のサッカー部は厳しくて有名だったので、『比較的ゆるい』と言われていたバドミントン部に入部した」
娘が同級生だったという40代女性は「彼は小学生のころはぽっちゃりしてかわいらしい感じだったので同級生の女の子からも評判だったの。中学生になって彼を見たときは痩せてシュッとし、マッシュルームカットで今風の子になっていました」と印象を話す。
一方、別の元同級生の母親は、小学校低学年の頃に起きた小さな事件を覚えていた。
「クラスでちょっとしたトラブルがあって、父母らが交代で毎日授業を教室で見学していたんです。多くの子どもたちは気にしなかったんですが、彼にはこれが苦痛だったみたいで、お母さんに『大勢の人たちに見られるのが嫌で(授業に)集中できない...』と愚痴をこぼしていたそうです。それで、授業を親が見学するのは控えようという流れになりました。そのころから『ちょっとセンシティブな子なのかな』とは思っていました」
両親は教育への関心は高かったようだ。小学校時代はサッカーの試合や練習に、親子三人そろって姿を見せることもあったという。
「お父さんもお母さんも地味な感じで地域では付き合いが広いほうではなく、本人もサッカーが上手だとか熱心だったという感じではなかったんですが、ちょっと内気な彼の背中を両親が押していたという感じでした」(同前)