関根くんは社長を「パパ」幸子さんを「ママ」って呼んでいた
ニューカマーの宝島さんにとって、「日本人じゃない」という理由でうまくいかないことは銀行相手にとどまらず、日常的にさまざまな場面であったという。数年前に現れた関根容疑者は、そうした場面で優秀な補佐役として機能したという。
「宝島社長夫妻も関根くんを頼りきっていたんだぞ。関根くんは若い頃はアメリカに留学してたとかで英語も堪能だったし、何より優しかったからな。宝島社長たちからは『マネージャー』って呼ばれていて、関根くんは社長を『パパ』幸子さんを『ママ』って呼んでいたよ。
関根くんは各店舗の業務を見て回ったり、新しい店舗展開で交渉役をやったり、いろいろな業務に携わっていた。関根くんが新しくオープンする寿司店の板前を自ら連れてきたりもしていた。もちろん実質的な経営判断は社長夫妻がしてたんだろうけど、かなり頼られてたな。もちろんケンカしてるとこなんて見たことないよ」
経営者として強引ともみられるような手法も、宝島さんと関根容疑者の2人は共通していたという。
「宝島社長もグッといくときはいって引かない、ほんと『やる男』って感じでな。あるとき、ライバル店に商品を卸すのをやめろと宝島社長に言われたんだ。うちとしてはどうしたもんかって迷ったけど、『A店と取引をやめてもその分の売り上げをすぐに超えてやる。だからやめろ』ってな。
なかなかそんなこと言えることではないよな。そういう意味では関根くんも似たようなところはあった。関根くんは仕事にほんとに真面目で、とことんやるタイプだった」
そんな関根容疑者が最近、仕事に関する愚痴をこぼすようになったという。
「4月に入ってからだったと思うけど、お好み焼き・もんじゃ店を新規開店したときに、珍しく関根くんが愚痴ってたんだ。初めて聞いたよ。ふだんからあっけらかんとしてるからびっくりしたけど、俺も深く聞かなかったんだよな。
オープン祝いで店に顔出したら関根くんが手招きして『俺、ゴールデンウィーク終わったらこの会社辞めるんで。やってらんねえ』ってね。でも言い方がそれほど深刻そうじゃなかったから『関根くんが辞めたらこの会社どうなるんだよ?』と軽く話を流してしまった」