「事前に聞いていた話と違う…」入社前のイメージとの乖離が早期退職の原因
今年の4月に生命保険会社に入社し、そこで営業に配属されたSさんは、退職代行を利用して4月いっぱいで退職したという。Sさんはなぜ1か月という短い期間で辞めてしまったのか。
「入社前に聞いていた話と違った点が多かったというのが退職した主な理由です。入社前に友人・知人営業はないと聞いていたのに実際はあったこと、聞いていた給与形態と違ったこと、また先輩たちは資格を持っていないのに、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格取得を強要されたことなど、最初から違和感だらけでした。
上司や先輩は根性論を語る人が多く、解決に向けて動いてくれそうな雰囲気はありませんでしたし、関係構築もできていなかったので、相談することはできませんでした。『相談してどうにかしよう』という気持ちより『早く辞めてここから逃げ出したい』という気持ちのほうが強かったですね」(Sさん)
「退職代行モームリ」を運営する谷本氏によると、こうした“入社前の話と違う”というケースはかなりあるそうだ。
「正社員として雇用すると聞いていたのに、実際は派遣社員や契約社員だったというケースや、勤務地の希望を配慮すると言われていたのに、全く希望が通らなかったというケースなど、最初の話と違ったということで退職のご相談をされる方が非常に多いです。
早期退職者が出やすい企業の特徴として、人手不足に陥っていることが挙げられます。条件のいい話で釣っておきながら、いざ入社すると新入社員の希望がまったく通らず、人手が足りていない部署に飛ばされたり、給与形態の条件が途中で変更され改悪されたりすることがあるのです。こうしたことは、新卒の方のみならず、中途入社の方も悩むことが多い問題です」(谷本氏)
昨今ではブラック企業が問題となっているが、退職代行が認知され始め、退職のハードルが下がったことで、辛い環境には早期に見切りをつけて、次のステップに進む若者が増えているのかもしれない。