休日の提供者

次に、「休日」の体験の「提供者」については、①民間事業者、②地域や保護者のボランティア、③自治体・公的機関、④プライベート(家族や友人同士)、という4つの選択肢を提示した。

そのうえで、「自然体験」、「社会体験」、「文化的体験」の領域ごとに年間の平均支出額を見ると、「放課後」の体験と同じく、いずれも「民間事業者」で高くなっている(グラフ6)。

グラフ6:休日の体験への年間支出額(提供者別)。『体験格差』より
グラフ6:休日の体験への年間支出額(提供者別)。『体験格差』より

「民間事業者」の次に費用が高くなっているのが、家族や友人との様々な場所へのお出かけや旅行などが含まれる「プライベート」だ。家庭ごとの経済力の格差が出やすい領域だと言えるだろう。

それらに比べ、「ボランティア」や「自治体・公的機関」が提供する「休日」の体験は相対的に安くなっている。それらの中には無料で参加できるものもあるが、一定の参加費、また交通費や食材費といった実費がかかる場合もある。

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こうした体験の「提供者」ごとの支出額の違いから想像できることは、それぞれの保護者たちは自らの経済力に応じて、自分の子どもがどんな「体験」の場に参加するか(できるか)を判断しているだろうということだ。

単純化して言えば、低所得家庭の子どもは、地域のボランティアや自治体が提供する無料および安価な「体験」の場には参加しやすいが、企業などが提供するそれには参加しづらい、そんな状況があるのではないか。