頂き女子りりちゃんの事件をどう思うか?

――お二人以外の従業員ホストの残金についてはどうですか?

りっくん 全員の売掛金の残高は把握していませんが、昨年12月の時点で100万円から200万円ほどの残高が残っていた従業員はいたと思います。ただし、それらの残金は昨年のうちに従業員から全額入金済みです。従業員らがそれらをきっちり回収したのか、それともカブったのかまでは把握していません。

はっしー 売掛って結局、カッコ悪いことなので、あまり他の従業員には言わないんですよね。回収できなかったら「力がない」と舐められますしね。

取材に応じる、“噂のりっくん”(左)と“はっしー”(右)(撮影/集英社オンライン)
取材に応じる、“噂のりっくん”(左)と“はっしー”(右)(撮影/集英社オンライン)

――お二人は昨年12月以前には、高額の売掛をもちかけたことはありますか?

りっくん ホストになって4年目くらいまでは売掛(営業)を100万円単位でバンバンやってましたよ。でも8年前にYouTubeチャンネルを始めてからは「ホスト業界をよくしていこう」という意識に変わったのでしなくなりました。

はっしー そうですね。自分も始めて1年半くらいまでは、売り上げが立てられずにお客さまに頼るような形で売掛を持ち掛けて回収できず、給料から引かれて生活が苦しい時期がありました。そして翌々月の生活のためにまた売掛を重ねるループにハマったこともあります。でも一方でお客さまから「今日、掛けでいい?」って聞かれたこともあります。売掛というと、みんなホスト側から強要するようなイメージがあるかと思いますが、女性側から言ってくるパターンのほうが多いくらいなんですよ。
 

りっくん 「売掛はホストの醍醐味だ」というお客さまもいるくらいで。結局みんな仕事を頑張る理由が欲しいんですよ。そういう意味では、売掛したがるお客さまを止める勇気や断る勇気もホストには必要だと思う。僕も実は昨年、お客さまからどうしてもと頼まれてした売掛で飛ばれて、数百万円もの自腹を切りました。それで改めて思い直しました。

頂き女子りりちゃん(本人SNSより)
頂き女子りりちゃん(本人SNSより)

――売掛問題の象徴ともいえる、頂き女子りりちゃんの事件についてどう思いますか。

りっくん
 返済能力以上の金額をホストに支払わなければならない状況がある限り、同様のケースが他にも多く存在すると思います。そうしたことがひとつでもなくなることを願ってますよ、ほんと。

はっしー 僕もかつて在籍していた店で、間近で9000万円の売掛をしているお客さまを見ました。その女性は飛んで、ホストは永遠にタダ働きさせられていましたね。今もその店にいるかどうかはわかりませんが。売掛はいずれにせよホストもお客さまも苦しめるもの。だからこそ、今のように売掛禁止になったことは、結果的にホストもお客さまを苦しませずに済む、よい環境になるのではと思います。
 

――売掛を払えず風俗や、立ちんぼ、海外で出稼ぎ売春までするお客についてどう思いますか。

りっくん そうまでしてホストクラブに行こうと思う気持ちが、ただただすごいと思います。僕のお客さまも大半は風俗や夜職のかたなので、愚痴を聞くことも多いし、その大変さも察しながら楽しませるのが僕らの仕事だと思っています。

はっしー 海外出稼ぎはここ最近ですごく話題になっていますが、少なくとも10年くらい前から流行っていました。僕のお客さまも5年ほど前に「フィリピン行ってくるねー」と言って飛び立って入管で捕まってましたから。他のホストがどうかは知らないですが、僕のお客さまは突然、自ら海外に行くって方が多かったですね。「これから行こうと思ってる」という子には引き留めたこともありますが、それでも行くお客さまはいます。