擁立する小池氏の学歴詐称疑惑が乙武氏のさらなる逆風に

乙武氏の選挙体制が瓦解するなか、さらに追い打ちをかけているのが小池氏の学歴詐称疑惑だ。

小池氏の「カイロ大学卒業」については1992年に国会議員に初当選したころから「詐称ではないか」という疑惑がついて回っていたが、知事再選をかけた2020年の都知事選前には『女帝 小池百合子』(ノンフィクション作家・石井妙子著)が発売され、書籍内ではカイロ時代の同居人から「卒業していない」という証言も飛び出し、疑惑に再び注目が集まった。

この直後に駐日エジプト大使館がFacebookに小池氏の卒業を認める「カイロ大学声明」を突如として掲載。疑惑は一気に沈静化することになる。

だが、小池氏の元側近で都民ファースト事務総長を務めていた小島敏郎氏がこのことについて、4月10日発売の文藝春秋に「私は学歴詐称工作に加担してしまった」と告発。「カイロ大学声明」は小池氏の依頼によってジャーナリストが執筆したものだと明らかにした。

『女帝 小池百合子』(文春文庫)
『女帝 小池百合子』(文春文庫)

告発のとおりなら疑惑払拭の声明自体に、疑惑をかけられた小池氏自身が関与していたことになり、その正当性は大きく揺らいでいる。

そのような背景で乙武氏の情勢はこの1週間でさらに厳しいものになってしまったというわけだ。

「小池氏は東京15区補選の勝利を足掛かりに、自民に恩を売って、国政に回帰して総理大臣を目指すことも視野に戦略を立てていた。しかし、補選惨敗となれば、国政回帰はおろか、今年の都知事選での3選も危うくなってくる」(永田町関係者)