夫・宅間守に代わりお詫びします

皆さまへ

夫、○○(旧姓 宅間)守、享年40歳にて、去る9月14日午前8時16分、死刑執行により永眠致しました。ここに生前の夫が行いました取り返しのつかない大罪に、衷心よりお詫び申し上げます。また、昨年末の入籍の際には、世間をお騒がせし、恐らくは、多くの方々に大変に不快な思いをお掛けしてしまったであろうことを、重ねてお詫び致します。

本来ならば、親族となった私は、夫に代わり、被害者、及び、遺族の皆様方の前に直々に参上致し、心からのお詫びを申し上げなければならないところなのですが、死刑囚と婚姻したという、非常識とも取られてしまうような立場である私のような者が、未だ心の深い傷が癒えぬままでおられるであろうご遺族の皆様方の前に参上するのは、更にお心の傷を抉ってしまうばかりか、とも思い、静かに時間の経過を待つことだけしか出来ないままに日々過ごして居りました。

被害者の方々、そしてご遺族の皆様方には、大変に申し訳なく、取り急ぎ、この場をお借りしまして、非礼ながらも書中にてお詫び申し上げたく思います。本当に申し訳ありませんでした。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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夫の死刑執行の知らせを受けたことにつきましては、今は、ただただ、「許されるのなら、せめてもう少しだけ、彼と対話を続けるための時間が欲しかった」との思いで、自らの力不足を悔やむ以外に術が見つからないような心境です。

昨年末の入籍以後、夫との関わり合いの中で“家族愛”のような絆を、少しずつでも築き上げていきたいと、私自身は願っておりました。そういう関係性の中から、なんとか“他者の痛みがわかる”そんな心が、彼の中に芽生えることだけを祈り続けました。

多くの方々のお力添えもあり、この数カ月の間、少しずつではありますが、彼の中に変化が見受けられたこともありました。が、しかし、精神の苦痛、肉体の苦痛に、最後まで耐えることが出来ずにか、自らの死を求める境地との狭間で、彼の心はいつもガタガタと音を鳴らして崩れてしまう日々の連続でした。夫の犯した大罪は、決して許されることではないとは知りつつも、けれど、もう少し、あと少し、彼と対話を続ける時間が欲しかった、と悔やまれてなりません。

突然のことであり、まだまだ心の整理がつかぬまま、非礼を承知の上で、筆を取らせて戴きました。

夫、宅間守の犯した事件により、亡くなられました被害者の皆様、そしてご遺族の方々に対しまして、本人の中から贖罪の意識を引き出せないままに終わってしまったことに、今は、心からの慙愧の念に堪えません。力不足でした。

本当に申し訳ありません。

平成16年9月19日