治療のめどが立っていないがん
もちろん、治癒のめどが立っていないがんもまだあります。たとえば、膵臓がんや胆管がんです。膵臓も胆管も、CT検査や超音波検査では見えにくい位置にあり、がんの発見が難しいという性質があります。
痛みや機能障害のような自覚症状が現れにくく目立たないこともあって、気づいたときには手遅れになるほど病状が進んでいることの多いがんです。
膵臓がんや胆管がんは手術の難易度が高いことでも知られています。膵臓や胆管の周辺には重要な臓器が密集しているため、浸潤(がん細胞が周囲の組織にしみ込むように広がること)や播種(がん細胞の遠隔転移のパターン)を生じやすく、手術で正常な部分と病気の部分の分離が難しいのです。
それでもがん全体を俯瞰して見れば、現在は20世紀後半と比べて克服が進んでいることは疑いようがありません。