新人研修のコストカットや即戦力となることが期待できる

厚生労働省が発表した「令和2年3月に卒業した新規学卒就職者の離職状況」によると、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.0%(前年比+1.1ポイント)、新規大学卒就職者が32.3%(前年比+0.8ポイント)となっており、年々増加傾向にある。

新卒入社したものの数年のうちに退職して転職活動をする25歳前後の“第二新卒”枠の転職者が、年々増加えているのだ。転職ファストパスを出すというのは、“第二新卒”枠としての採用を狙った企業側の思惑もあるのだろう。

「転職ファストパスのメリットは“第二新卒”採用と同じで、最初に入社した別の企業で新人研修を済ませているため、自社では社会人としての基礎研修にコストを割く必要がないという点です。
どの企業もこぞって新卒採用を行っているのは、学生の若さに最大限の価値を見出しているから。パスを出しても、新社会人から3年経ってしまうと、他社の色がついてしまっていたり、求職者のフレッシュな魅力が半減してしまっていたりする場合もある」

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新卒から3年以上勤めていると、さすがに他社の色に染まりきっている可能性が高くなるが、3年以内であればまだそこまで染まっておらず、なおかつ即戦力として期待できるため、企業側のメリットが大きいということか。

「ただ、近年では企業の口コミサイトもありますし、『パスをもらったのに落とされた』などと書き込まれたり、パスを出していることが知れ渡り『人材不足で困っているのでは』というイメージが付いてしまったりすると、企業側のマイナス要素になってしまいます。そういった点は転職ファストパスのデメリットといえるでしょう」